出版社内容情報
内容説明
源氏の君の養女はお転婆娘だった(「やんちゃ姫 玉かつらの巻」田辺聖子)。放浪の僧侶が秘めた煩悩とは(「髪」瀬戸内寂聴)。和泉式部の奔放な恋を描く(「桜子日記」永井路子)。皇女にいやがらせをするのは誰?(「朝顔斎王」森谷明子)。高名な巫女が召したのは、醜い少女だった(「照日の鏡―葵上」澤田瞳子)。権力闘争と女房たちの創作の源を描く(「栄花と影と」永井紗耶子)。歴史小説の名手たちが織りなす、美麗なるアンソロジー。
著者等紹介
末國善己[スエクニヨシミ]
1968年、広島県生まれ。文芸評論家。明治大学卒、専修大学大学院博士後期課程単位取得中退。時代小説・探偵小説のアンソロジーを多数編む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
82
来年ん大河に向けて源氏物語関係の作品が続々と出て来るんだろうな。と、いうことでまずはアンソロジーから。歴史小説の名手たちによる雅の世界、その裏の世界。源氏物語そのものではなく、その時代を映した作品。それぞれの作家さんらしくてなかなか面白い。田辺聖子さんは冒頭から関西弁でゴキブリ退治をする姫の姿は笑える。寂聴さんは比叡・横川の僧都の弟子、阿闍梨が主人公。一番読み応えのあったのは、永井紗耶子さんの書き下ろし作品。これは長編で読みたい。それにしてもこの時代の登場人物たちの名前、藤原さん、源さん、ややこしすぎ。2023/11/17
けやき
77
源氏物語や作者の紫式部周辺を描いたアンソロジー。どれも楽しく読めた。1番のお気に入りは永井紗耶子の「栄花と影と」だな。2023/10/25
さつき
63
田辺聖子、瀬戸内寂聴、永井路子、森谷明子、澤田瞳子、永井紗耶子6人の女性作家の源氏物語にまつわるアンソロジー。「桜子日記」と「朝顔斎王」は既読。「やんちゃ姫 玉かつらの巻」の明るさ逞しさが好き。「照日の鏡-葵の上」は託宣を生業とする巫女の様が描かれていて面白かった。2023/11/25
ケイト
61
源氏物語とリンクした話やミステリもある。どれも良かったが、澤田さん、最後の永井沙耶子さんの『栄花と影と』が特に良かった。赤染衛門の視点から描かれた作品。権力闘争の最中、清少納言の人となりが書かれ紫式部とは年も離れていたようで、お互いを意識し合っていたようだ。『枕草子』『源氏物語』『栄花物語』三人三様の物語が誕生したのが興味深い。2024/02/14
nico🐬波待ち中
60
日本のみならず世界的にも評価の高い『源氏物語』や平安時代を題材に、現代の名だたる女流作家6名が描いた短編集。特に田辺聖子さん、澤田瞳子さん、永井紗耶子さんが良かった。田辺聖子さん独特の関西弁の『源氏物語』には笑えた。確かに世の女性みんなが光源氏を好むとは限らない。永井紗耶子さんは赤染衛門目線の物語。赤染衛門と清少納言の絡みが大河ドラマ『光る君へ』でもあればいいのに。清少納言の紙と筆を使って中宮・定子を守り戦う姿が凛々しく、清少納言のことがますます好きになった。赤染衛門の『栄花物語』もまた読んでみたい。2024/07/27