出版社内容情報
佐久間美保は小学生の息子・晴翔と夫の三人暮らし。ある日、晴翔が小学校のベランダから転落して骨折してしまう事件が発生する。
転落した理由を尋ねるも、晴翔はかたくなに口を閉ざしたまま。
もしかして、わが子はいじめを受けていたのではないか……? そう思った美保は独自に真相を探ろうとするが、自身も小学生時代にあるいじめを「目撃」しており……?
衝撃のラストに震撼する、「いじめ」問題に切り込む意欲作!
内容説明
佐久間美保は小学5年生の息子・晴翔と、同じ会社で働く夫・和弥と、忙しないながらも普段通りの毎日を過ごしていた。そんなある日、晴翔が小学校のベランダから転落して骨折してしまう。理由を訊ねるも、息子はかたくなに口を閉ざしたまま。ひょっとすると、わが子はいじめを受けていたのではないか―。そう思った美保は独自に真相を探ろうとするが、自身も小学校時代にあるいじめを「体験」した記憶がよみがえり…?いじめ問題に真摯に挑んだ、著者の新境地!事件の真相を追う母親に、過去の子ども時代が交錯する。すべての記憶を揺るがす衝撃のラスト10ページ!
著者等紹介
朝比奈あすか[アサヒナアスカ]
1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
168
普通とは・・改めて考えてしまう。嚙み合わないこの思考は永遠のテーマだ。自分と同じ環境や考えの人はいないのは誰しも同じ。家庭や学校で習うというか当たり前の道徳感はただの上っ面だ。でなけりゃこの社会はこんなにギスギスしていない。優しくないこの社会、毎日どこかで話題になる『イジメ』陰に陽に身に覚えのない人はいる?脛に多少のキズはあるだろう。それは遭った方?した方?小中学校の頃の事がずーっとトラウマになってる人が居るのだ。そんなつもりじゃない自己弁護は、後から幾らでも言えるしそもそも論だ。読後はとても苦く苦しい。2025/01/14
hirokun
134
★5 久しぶりにいじめをテーマにして真正面から取り組んでいる作品に出合った気がする。内容を読み深めていくと、単なる表面的ないじめにとどまらず、人間関係の複雑さ、被害者と加害者の単純な区分の困難さ、中立的に物事を捉えることの難しさと自己中心的解釈などなど自分自身に照らし合わせてみても納得できるものだった。自分の学生時代に限らず社会人としての人間関係を含めて、振り返ってみると非常に深い示唆を与えてくれる読書だった。人は、本当に他人の立場に立って考えることは難しく、相手の事を分かった様な気持ちになりがちだ。2025/01/16
もぐたん
108
主人公の親も息子も言い訳ばかりでイライラする。これが現実なのは体験済み。人を傷つけても平気な輩がいて、それに耐えてるしかないのが真っ当な人間。やられてやり返したら、即、負けだし、陰湿ないじめも、こんなにわかりやすく因果応報であれば我慢もできるが、私はエリに100パーセント共感。返信不要、そりゃそうだ。関わりたくない。普通なわけないだろ、こんな親子。善良な人々がこんなおめでたい親子と関わらなくて良くなることを切に願う。蛙の子は蛙。人を貶めて普通と思ってる時点で普通じゃないから。あー、気分悪い。★★☆☆☆2025/03/02
美紀ちゃん
102
恐ろしい。いじめ事案。読んでいて子供もおかしいけど、あれ?母親もおかしくない?とずっと引っかかっていた。ラストのメールを読んで納得。息子が心配なのにコミュニケーションをとらなすぎる母親の美保。考え方が一方的すぎる部分がある。思いやりが足りない。会社でのスタンスに表れていると思う。完全にズレてる。だから上司など職場の人とぶつかる。イジメはやった方は忘れてもやられた方は忘れない。それがうまく描かれていた。問題ある子供の親はやはり問題がある。母親に全く自覚がなくて恐ろしい。すごいホラーみたいな終わり方だった。2025/01/28
ゆみねこ
87
小5の一人息子が学校のベランダから飛び降りた。息子はイジメられていたのか?仕事に追われ学校での息子の様子を全く把握出来ていないので母親・美保。美保自身も小学生時代に苦い思いをし、その記憶が甦る。うわー!なんだろう、感想書けない。。ラストの展開に息を呑むほどの衝撃。イジメは駄目、絶対に。2025/01/31