出版社内容情報
死すとも志は捨て申さぬ――。肥後藩の下級武士に生まれた河上彦斎は、女人と見まがう美貌の持ち主ながら、神速の抜刀術を誇っていた。幕末最大の思想家・吉田松陰との出会いは、彦斎に国事奔走を誓わせる。藩主とともに上洛を果たした彦斎は、いよいよ尊皇攘夷を決行するため、血なまぐさい天誅行為に手を染めていく。“人斬り彦斎”と怖れられた梟雄は、何のために剣をとったのか。圧倒的斬れ味を誇る葉室麟渾身の歴史長篇。
内容説明
死すとも志は捨て申さぬ―。熊本藩の下級武士に生まれた河上彦斎は、女人と見まがう美貌の持ち主ながら、神速の抜刀術を誇っていた。幕末最大の思想家・吉田松陰との出会いにより、国事奔走を誓う。藩命により上洛を果たした彦斎は、尊王攘夷を決行するため、血まなぐさい天誅行為に手を染めていくが…。“人斬り彦斎”と怖れられた剣士は、何を変えるために身命を賭したのか。圧倒的な斬れ味を誇る、迫真の歴史長篇。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。16年『鬼神の如く―黒田叛臣伝―』で司馬遼太郎賞を受賞。2017年12月、惜しまれつつ逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たち
25
尊皇攘夷を成し遂げる為だけに全てを擲って、人斬りを続けた彦斎。彼のあまりにも真っ直ぐすぎる人生はとても凄惨です。ここまで、人斬りをせずとも何か方策があったかもしれないのに、という想いに強く囚われました。2024/04/27
Porco
18
この手の反政府の人物を描いた作品は、熱に浮かされたような激しさがあるのだが、今作はむしろ静かさすら感じる。卜占で斬る人物を定めたり、立ち振る舞いや言動であったり、「強さ」と「思想」両方の意味で神がかりだった彦斎。第三者から見た彦斎は理解できない怖さがあったと思う。「このころ、政府要人にとって河上彦斎は——夢魔のようであった」と語られるように、理解しきれないものがいて、それが神剣という形をもって自分に振り下ろされる。幕末を生き抜いた政府の人間でも、本作の河上彦斎は畏れを抱かせるほどに怖さがあったのだろう。2025/11/30
HaruNuevo
11
幕末四大人斬りの一人とされる肥後国の河上彦斎、るろうに剣心の緋村剣心のモデルともされる、尊王攘夷を貫き通した苛烈な剣士の短い人生を描いた物語。 現代の価値観で生きる自分にとって幕末動乱の時代は、統治の無能、短慮と近視眼、権力闘争、狂信そしてテロの時代であり、正直言ってしまえばあまり魅力を感じないのだ。 葉室麟さんの真骨頂は、歴史小説よりも時代小説にあるように思えてならない。2023/10/01
松田悠士郎
3
幕末4大人斬りに数えられながら最もマイナーな存在だったが、大ヒット漫画「るろうに剣心〜明治剣客浪漫譚〜」の主人公「人斬り抜刀斎」こと緋村剣心のモデルと紹介されて俄かに注目度が上がった河上彦斎を主人公に据えた作品。派手な斬撃シーンは少ないものの、徹頭徹尾「尊王攘夷」の志を曲げずに生き続けた男の、あまりにも短い生涯を落ち着いた筆致で活写している。それにしても、読了した日が8月18日とは、妙な因縁を感じる(彦斎は長州に長く身を置いていた)。2023/08/18
西本邦明
2
幕末の混乱を生き抜いた武士の物語。 この時代に生きた方々のお話しは、いくつも本になっておりますが、河上彦斎 人斬り彦斎の物語は、初めて読みました。勝海舟や、桂小五郎、大久保利通、西郷隆盛、高杉晋作、吉田松陰に新選組と、幕末のオールスターが登場するスリリングな展開に、次々とページをめくってしまいました。 とても良い物語でした。2023/07/31
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