出版社内容情報
日常から逃げ出したいあなたへ――
心に悩みを抱える人が迷い込む、森の中の不思議な宿「山亭ミアキス」。超絶美形のオーナーに不思議な従業員、ロビーでは暖炉が赤々と燃え、食事は絶品のアイルランド料理。しかし、泊まると間違いなく酷い目に遭わされる。ブラック部活に疲弊する少年、マタハラに悩む女性など、今日も救いを求める者がたどり着く。人をたぶらかす、謎めいた彼らの正体と目的とは――? 「マカン・マラン」シリーズの著者が描く、愛と涙の物語。
内容説明
森の奥深く、青い湖のそばに佇む「山亭ミアキス」。ここに辿り着くのは、現実から逃げ出したい人ばかり。アイドルのトラブル処理に奔走するマネージャー、父親になる責任を負いたくない男、部活で顧問のパワハラに疲弊する少年…。暖炉の火が燃えるロビーでオーナーが語る話や絶品料理を堪能し、日常を忘れる幸せ。だが、意外な形で客たちが向き合う容赦ない真実とは―?未来に立ち向かう勇気をくれる、心震える物語。
著者等紹介
古内一絵[フルウチカズエ]
東京都生まれ。映画会社勤務を経て、「銀色のマーメイド」で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年に『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、18年に同書で第6回JBBY賞(文学作品の部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アクビちゃん@新潮部😻
41
大好きな古内一絵さん💕 迷いを抱える人の前に現れる山亭ミアキス。マカン・マラン シリーズとは違い、ダークな感じが漂います。そのダークな雰囲気の一役たっているのが、山亭ミアキスのスタッフたちと、猫にまつわる神話。猫が可愛いだけではないように、人生は甘いだけじゃないよと諭され、だからこそ頑張れとエールを送られ、少し疲れていた私を励ましてくれました。猫って、自ら人の近くに居ることを選んだ唯一の動物だもの、猫パワーって凄い! パンガーさんの料理、食べてみたいな。2024/12/22
エドワード
34
南東北の山奥。「山亭」の看板を掲げる宿が迎える、道に迷った旅人たち。アイドル事務所のマネージャー。恋人の予期せぬ妊娠から逃げる男。アラフォーの岐路に立つキャリアウーマン。アメフト部の厳しい顧問が怖い少年。自己肯定感が低く自殺を図る女性。麗しいオーナーやシェフのバンガー等と談話し、夢幻の世界を彷徨った彼らが、世界の見方を変えて現実世界へ戻っていく姿は、まさに心理学の認知療法だ。彼らは何者?オーナーの語る、長靴をはいた猫、アイルランドのケット・シー、インドのショスティ・マー等の神話が効いていて非常に面白い。2024/02/20
mayu
31
ずっと気になっていた初読み作家さん。人間は臆病で脆くて弱い。困難に襲われた時、自分に言い訳して逃げ出してしまう時もある。そんな人達が辿り着く森の奥深くにある『山亭ミアキス』美しいオーナーに美味しい食事に救われたかと思いきや身体は全然休まらない。猫の神話に沿って、荒治療のごとく自分自身の迷いと逃げに向き合わされる。中々重い内容を突きつけられて息苦しくなるけれど山亭の独特の空気間に飲まれていく。猫は可愛いだけの存在では無い。今まで読んできた猫の出てくる小説とはひと味もふた味も違う一冊。2024/01/25
٩( 'ω' )و~aki.info/@
24
友人から受け取った時には、この本のタイトルや表紙の絵に対して、特別な印象は持っていませんでした。 数年前にマカンマランシリーズを読んでいたので、ところどころに散りばめられたスパイスにも心踊っていました。 読了後、あらためて表紙の絵を見て納得。(笑)2024/02/09
すみっちょ
23
猫ってかわいいだけじゃなかったんだなという感じです。猫への見方が変わるかも。今回あらすじをあまり知らずに読み始めたのですが、山亭を訪れるお客さんの誰もが理不尽な目に遭っていて、山亭で癒されるかと言えばそこまででもなく。引きずられて私まで暗い気持ちになりそうでしたが、みんな山亭を出た後は自分の道を新たに切り開いていく兆しが見えて、そこに救われました。一番後味が良くてすっきりしたのは「隠れる少年」でした。2024/10/14