煉獄蝶々

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煉獄蝶々

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  • サイズ 46判/ページ数 216p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041128336
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

明治三十八年、岡山。名家・大鹿家に拾われた一人の赤子。保和と名付けられた彼は、大鹿の養子として乳母の春に育てられることに。春の語る残酷な怪異譚を聞きながら、愛憎渦巻く名家で青年となった彼は、この世ならざるものを感じることができた。昭和四年、失踪していた文学の師で放蕩者の作家・金光から保和に帳面が届く。そこには、自ら殺し、そして蘇らせた妻とのおぞましくも妖しい旅行記がつづられていた。金光の記録に魅せられ、読みこんでいくうちに精神を浸食される保和。日常さえも次第に歪められていく中、彼はことの真相を確かめるべく、金光夫妻が逗留しているという新嘉坡へ向かう。

内容説明

昭和三年の岡山。名家の養子・大鹿保和に、失踪中の作家・金光晴三から手記が届く。そこには、自らの手で殺し、そして蘇らせた妻との日々がつづられていた。おぞましい物語を読み進めるにつれ、存在しない黒い蝶の影が精神を蝕んでいく。手記の内容は創作か、それとも真実なのか。保和は金光夫妻が逗留している新嘉坡の宿へ向かうが、そこで待ち受けていたのは―。

著者等紹介

岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年、岡山県生まれ。99年、短編「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。また、同作に書き下ろし3編を加えた同題の短編集が、ジャンルを超えた質の高い作品性を支持され、第13回山本周五郎賞を受賞する。恋愛小説『チャイ・コイ』で第2回婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で第9回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

197
岩井 志麻子は、新作中心に読んでいる作家です。久々の著者の新作は、著者らしい岡山が舞台のエログロな幻想譚でした。若い頃に比べると少しインパクトに欠ける気がします。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/8129 【読メエロ部】2022/09/03

タイ子

88
岩井志麻子という作家、岡山を舞台におぞましく不思議な世界を作り上げて読み手をゾワリとさせながらその世界に引き込んでいく。それは大好き!しかし、本作はそのゾワリ感がない、不思議な世界は志麻子さんの中にのみあって読み手を引き込んでくれない。と、全てを否認するわけではなく、冒頭からの前編はこれはどこに向かう?期待感大。だが、失踪した作家・金光の手紙部分から夢なのか、現なのか、その間に置かれて面白いという感覚が薄れていく。夢と現を彷徨う感覚は確かに志麻子さんなのだが…。次作に期待しよう。2022/08/24

keroppi

79
図書館の新刊コーナーで見つけて。冒頭の血生臭くおどろおどろしい雰囲気に惹かれたが、その後の展開は、主人公から作家や女中の話に移行し、なんともまとまりない印象。岡山では、可哀想と可愛いが同義だというのは初めて知った。2022/09/11

いちろく

31
明治38年、岡山の名家に拾われた赤子である主人公は、養子として義母からは愛玩として愛でられる様に、乳母からは不思議な体験談を語られながら、愛憎渦巻く環境の中で育てられていく。義父の死をキッカケに家族が離散した後に、手元に届いた帳面がキッカケで物語が動く展開。現と虚を行き来するような独特な雰囲気であり、これまで手にした著者らしさとは異なる内容。終始、独特な作風に溺れるような内容だった。読み終えた後は、なんとも言えないが本音。繰り返される「可哀想は、可愛い。可愛いは、可哀想。」という岡山弁がインパクトあり。2022/10/12

くさてる

30
色々物足りないと思う部分もあるけれど、同じくらいに素晴らしいイメージや言葉、なんともいえない雰囲気もある。この一冊がどうこうというより、やはり、岩井志麻子は岩井志麻子にしか書けない世界を書いていると思うのです。そしてそれと同時に変化し続けてもいる。とにかくどんどん書いてほしい。途切れないでほしい。読むので。2022/10/29

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