出版社内容情報
島民の健康向上に奔走する若き研修医・新実一良。「がん検診」「在宅医療」「認知症外来」など新たな施策を試みるも、意外な問題点が次々と明らかに……?!現代医療に一石を投じる著者渾身の医療エンタメ!
内容説明
離島で医療を学ぼうと、意気込んで「岡品記念病院」にやってきた研修医の新実一良。ところが先輩医師や看護師たちはどこかやる気がなく、患者が求めなければ重症でも治療を施そうとしない。反発心を抱いた一良は在宅医療やがん検診、認知症外来など積極的な医療を院長の岡品に提案するが、様々な問題が浮き彫りになっていき―。現代医療の問題点を通して、生とは何か、死とは何かを問いかける、著者渾身の医療エンタメ!
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。作家・医師。2003年、小説『廃用身』でデビュー。医療分野を中心に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
52
昔は「医は仁術なり」、今じゃ「医は算術なり」。医療に政治家も加わりなんとかして儲けようと。年寄の薬漬け、年寄の社交の場が病院の待合室。どこかおかしいのよねって思っていたらこのオカシナ記念病院が目に留まった。若い人の命は守ってあげたい。が、本当のところ年寄が長生きしすぎるのもこれまた弊害が。医療の現場の実情がブラックユーモアで書かれていましたが、今じゃネット予約が主流を占めてなかなか予約の取れないところもある。そのうち通院を諦めていい具合にお迎えが来るかも😅。2024/10/01
優希
52
現代医療の研修医として離島の病院を研修地として選んだ一良。都会の病院とは大きく異なる医療現場に驚くことばかり。ユーモアたっぷりに描いていますが、都会と離島の医療行為の違いは深刻なものがあるように思いました。医療のあり方を考えさせられます。2024/08/13
菜穂子
42
現代医療の真っ只中で研修医として身を置き、後期研修を僻地の島を選んだところで作者の思惑が感じられる。全人的な医療、医療行為を拒むなら医者にかからなければ良いわけではない。何が正解かは一人一人違ってそれに真摯に対応してくれる医師がいる。それがベストだけれど。いつも考えさせられるテーマを出してくる。本当はオカシナ病院じゃないところが味噌。2024/06/14
petitlyz
27
後期研修医として南の離島にやってきた主人公、新実。 前期研修の医療機関だった大学病院は設備等も最新だったので、どんな医療ができるかワクワクしてやってくる。 が、新実の期待とは違う方向に進んでいく。いろいろ実験的にガン検診や、認知症予防などやってみるが、思った成果は出ない。 久坂部先生の作品はいくつか読んだことがあるけど、過剰な医療は不要派だったように思う。それをまた更に裏付けるようなストーリーが多々。なんとなく納得しちゃう感じでした。2025/03/09
katoyann
24
離島にある病院に赴任した研修医が主人公の医療小説。東京の大病院から赴任した離島の病院で目にしたのは「縮命医療」という名の反医療的行為だった。処置を施しても生き延びる可能性の低い症状に関しては「安楽死」の処置を行う。また、島の人々も自然な死を受け入れて、命を延ばすことに執着しない。医療の限界というべきか、そもそも人が長生きすることが幸せなのかという根本的な問題にも触れられていて、面白かった。2023/06/07