出版社内容情報
稲葉 稔[イナバ ミノル]
著・文・その他
内容説明
最強の剣豪はなぜ『五輪書』を著したのか?徳川家康の天下統一により太平を迎えた世―戦国の動乱を剣士として生き抜いてきた宮本武蔵も老境に達していた。将軍家剣術指南役となった柳生宗矩に対抗心を燃やし、生半可な仕官の道は選ばなかった武蔵も、島原の乱に従軍し負傷したことで老いを実感し、終の棲家を求めていた。熊本藩主・細川忠利から客分として招かれた武蔵は、当地で指南役を務めつつ、手伝いの清に支えられながら安らかな日々を送るようになる。やがて、自らが究めてきた兵法の道を伝えるべく、岩戸・霊巌洞に籠もり『五輪書』の執筆を始めた。武蔵が最後に到った境地とは?
著者等紹介
稲葉稔[イナバミノル]
1955年、熊本県生まれ。脚本家などを経て、94年に作家デビュー。近年は時代小説に力を注いでいる。「隠密船頭」シリーズと「浪人奉行」シリーズで第9回日本歴史時代作家協会賞の文庫書き下ろしシリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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旅するランナー
227
宮本武蔵に一時期のめり込みまして。吉川英治全8巻、笹沢左保全8巻、井上雄彦バガボンド37巻、そして五輪の書など関連本も読みましたし、岡山·京都·福岡·熊本などゆかりの地も旅しました。そんな男にとって、当作はとてつもなく感動作。人生の終盤、熊本時代の武蔵。藩主細川忠利との心の交流、兵法指南役としの充実した日々。そして、血気盛んだった頃の決闘についても後悔の念をもって振り返ります。もっとも泣かせるのが、生活の世話をするお清との優しい交流です。武蔵の新たな一面を見た気がします。武蔵ファン必読の書でございます。2023/01/14
イトノコ
23
図書館本。島原の乱鎮圧に参戦した宮本武蔵は己の衰えと人を斬る虚しさを覚え、隠遁を決意。ちょうど熊本藩細川氏から客分として迎えられ、そこで穏やかな日々を送る。/晩年の宮本武蔵を描く。佐藤賢一さんの「チャンバラ」で描かれた闘いの業から逃れられなかった武蔵とは違い、思慮深く穏やかで政道にも通じた「剣聖」とも言うべき様が描かれる。五輪書の内容は寡聞にも知らないのだが、本当に政について論じてもいるのだろうか。藩主細川忠利との交流など、ちょっと本当かな?という部分もあるが、少し変わった武蔵像をゆるりと楽しめた。2023/07/23
ハッチ
12
★★★★☆宮本武蔵の後年、五輪書を書くまでの人生を描いた作品。剣豪として腕を鳴らしていた時代は割と有名だが、老年になってから、全然知らなかったので勉強になったし、読み応えもあったので良かった。2022/11/30
chuji
3
久喜市立中央図書館の本。2022年8月初版。書き下ろし。宮本武蔵の晩年譚。宮本武蔵は吉川英治本の印象が強かった。本著作は島原の乱から始まる。武蔵が参戦していたとは知らなかった。【お清】さんが良い味出している。2022/10/12
犀門
2
No. 099★★★★☆宮本武蔵って、どこかとっつき難かったのだけど、意を決して読み始める。大阪の陣に参戦していたなんてつゆ知らず。そしてこんな晩年だったとはね…。2022/12/03