角川文庫<br> 私は幽霊を見ない

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角川文庫
私は幽霊を見ない

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041124413
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼でも見えないし、知覚する脳の器官も機能しない……。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。そんな著者は怪談専門誌で怪談実話を連載することに。そこで小学校時代からの恐怖体験を紹介。築百二十年の小学校の女子トイレには、“四時ばばあなる老怪女”や“病院で死んだ三つ子の霊”が出現すること。大学時代の友人たちから怖い話を聞き取りしたこと。友達の友達のお姉さんがイギリスのホテルで胸苦しくて目覚めると、金髪の白人女性がなにかをまくしたてながら首を絞めてきた話や、所属していたカメラクラブの部室の廊下を首のない女が走るという話などを思い出す。芥川賞を受賞し、上京した際には、編集者や出会った人たちからの聞き取りを怠らなかった。タクシー運転手が背負った自殺者の霊の話、マン島で見た妖精のような小さい人と目が合うとウインクしてどこかへ消えた話、自分が殺される夢を見たその夜に殺人事件が起こった話、深夜誰もいないトイレで鳴らされたナースコールなど。心霊体験をしたいがために、徳島県の廃墟ホテル訪問したり、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。幽霊には会えていないけれど、幽霊とは何かという問いの答えは知っている。“幽霊とは、生きているときに上げられなかった声”だ。私たちは誰であれ今でも、上げられない声を抱えながら生きているから、こんなにも幽霊を追い求めるのだろう。著者の幽霊探しの旅は続く。文庫化にあたり、書下ろし収録。【解説】朝吹真理子 【カバー絵】アンジェラ・ディーン

内容説明

ホラー映画好きだが、筋金入りの怖がり。でも幽霊は見たいという著者。怪談雑誌の連載企画をきっかけに怪談蒐集を開始した。京都の築120年の小学校の女子トイレに現れる“4時ばばあ”なる老怪女、大学時代の友達の友達のお姉さんがイギリスで幽霊に首を絞められた話やカメラクラブの部室棟の廊下を首のない女が走る怪談など。そして芥川賞受賞後、ついに幽霊とニアミス!著者の幽霊探しの旅は続く。書き下ろし充実。

目次

私は幽霊を見ない
富士見高原病院の幽霊
消えてしまうものたち
国立民族学博物館の白い犬とパリで会った猫ついに幽霊とニアミスする
はじめて心霊スポットへ行く
幽霊はいないけれど、不思議なことはある
理想の死に方とエレベーターと私が殺した植物たち
アメリカの空港で幽霊を探す
夢が現実になる話
幽霊とは生きているときに上げられなかった声だ
後日談
私は今も幽霊を見ない

著者等紹介

藤野可織[フジノカオリ]
1980年京都府生まれ。2006年「いやしい鳥」で第103回文學界新人賞。13年「爪と目」で第149回芥川龍之介賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サンタマリア

39
作者さん幽霊見えてますよね。「ゴースト」ではなく、「読み手」が。だとしたら、これはエッセイとよんでいいのかという不安が浮かぶ。あ、面白かったですよ。2023/01/28

shio

39
「私は幽霊を見ない」と断言する藤野さんの書くのは、実体験ではなく聞き取りした怪談。ちょっと説明がつかない怪談めいた、くらいの話。なのに、なぜかゾワッと怖くて単行本で挫折。今回文庫で再チャレンジ。2度目で、明るい場所で読んだので、怖さは半減。それでも、藤野さんの独特さが面白い!怖がりなのに幽霊を見たい藤野さん。一人では見たくない。「足の遅い私を置いて行くことのない細やかな配慮のできる人が三人はいてほしい」但し三島由紀夫や開高健の霊なら歓迎!と、出ると有名な新潮社クラブへ。う〜ん、私は有名人の霊でも無理だ😅2022/09/08

ネムコ

31
昨今、文芸の一ジャンルといっても過言じゃない怪談実話ですが、普通は体験者から聞き取りした内容を著者が独自の味付けをして読者に供する。その際、多いのは、体験者目線か、第三者目線だ。ところが本書は著者が画面の中に居るのだ。そして、両親や友人、担当編集者などに「何か、怖い話、ない?」と聞くわけだ。読者は聞き取りをしている著者の隣で、一緒に話を聞く感じ。こういうのは珍しくて面白かった。【日本の夏は、やっぱり怪談】参加中2022/08/31

tomi

26
怪談雑誌「幽」の連載。幽霊が見えない作家による、一風変わった実話怪談。怖がりなのに好奇心旺盛。ある時は作家の霊が出るという新潮社クラブで三島由紀夫や開高健の霊に会えなくてガッカリし、アメリカの幽霊が出るというホテルでは幽霊に話しかける英語を練習する。怖がりという割りに、電車の空席に向かってひたすら喋っている男のその席に腰を下ろしたり、「エア猫」を飼っているなど不思議な行動の数々… 怖いというよりも、面白いエッセイです。2023/08/20

そふぃあ

24
藤野氏の作品はあからさまに幽霊とかは出てこないのにそこはかとなく怖いのが特徴で、本作は著者が行く先々で実話怪談を収集するエッセイのような体裁なのだが、題名のとおり著者自身は幽霊と遭遇する事はなく、第三者の伝聞エピソードが連綿と綴られるので小説と似たような雰囲気がある。一番印象深いのは、新興宗教にはまった姉が実家である神社を壊して以来、きょうだいが皆50歳で亡くなり、婿養子に入った末っ子だけが生き残ったのだが、それは末代まで祟るために一人だけ残したのではないか、、という話で、最後の仄めかしが怖かった。 2022/08/17

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