出版社内容情報
横溝正史生誕120年記念復刊! 横溝正史の異色傑作!
内容説明
男が箱の蓋を開いた次の瞬間、前のめりになり激しく痙攣し始めた。胸には鋭い短剣が突き刺さっている。凶器は箱の中に強いばねで仕掛けられていたのだ。レヴュー演劇『パンドーラの匣』舞台上で起きた戦慄の殺人事件。作家であり舞台監督、そして俳優も務める幽谷先生と等々力警部は、この謎を解き明かせるか。横溝作品の中でもっとも異色と名高い本格推理小説である表題作のほか、金田一耕助が名推理をみせる「蜃気楼島の情熱」を収録。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説雑誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』などの名作を次々と発表。76年、映画「犬神家の一族」で爆発的横溝ブームが到来。今もなお多くの読者の支持を得ている。81年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coco夏ko10角
20
『びっくり箱殺人事件』舞台上で起こった殺人事件。なんだか文章やノリがいつもとちょっと違うかな。 『蜃気楼島の情熱』は以前他短編集で既読。やはりこういう横溝作品の方が好きだな。2022/06/01
nishiyan
10
表題作と「蜃気楼島の情熱」の二編が収録された本作。『びっくり箱~』はレビュー演劇の劇中に起こった殺人事件を皮切りに三人が犠牲になる内容。金田一耕助が登場せず、等々力警部が三枚目的な役割を担っている。演劇の出演陣が縦横無尽に暴れまわる推理活劇といった趣き。『蜃気楼島~』は『本陣殺人事件』に登場した久保銀造の招きを受けた金田一耕助が過去に殺人事件に巻き込まれた男の身重の妻が殺害される事件に挑む内容。短編だけに人間関係も含めてギュッと詰め込まれており、安心感のある展開。ラストの夫の寂しげな旅立ちが印象的だった。2022/08/16
agtk
10
2編収録。表題作はいつもの横溝作品と違い、びっくり箱ならぬおもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさ。何人も死んでいるのに能天気な感じで話が進む。まさに異色作だが、これはこれでおもしろい。もう一つの「蜃気楼島の情熱」は金田一耕助と久保銀造、磯川警部。こちらはもの悲しい。2022/02/06
私的読書メモ3328
8
表題作は、異色作との触れ込みですが、確かに遊びの多い文章には作者の試行錯誤が明らかです。ただ、内容としては、戦後のいかがわしい猥雑な風俗を部隊としている点から、良くも悪くも「いつもの横溝正史」と感じられました。併載の「蜃気楼島の情熱」は、金田一耕助シリーズでも上位に入る完成度だと思いました。シリーズの持ち味が凝縮されていてとても面白かったです。2022/05/13
ミキ
5
2024-43:表題作は金田一出てこず。軽妙なミステリーという感じ。2024/05/19