女を書けない文豪(オトコ)たち―イタリア人が偏愛する日本近現代文学

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女を書けない文豪(オトコ)たち―イタリア人が偏愛する日本近現代文学

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  • サイズ 46判/ページ数 336p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041122037
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

『舞姫』『こころ』『真珠夫人』etc.
ああも女心をわからないのは、なぜ??
古典文学ではあんなに巧みだったのに(嘆)
日本文学を偏愛し、恋愛下手も自認する翻訳者が文学史の誇る「最もくどくてどうしようもない男」たちから謎に迫る。

近現代文学はロマンチックラブとの格闘史だ!
<愛>の在り方が変わった近代。
名作を誰もが持つロマンスの黒歴史から読み直すと、偉い「文豪」でなく、恋愛下手で頭にもくるけど可愛らしい「男」たちの素顔が見えてくる。
古典文学の超訳で知られる著者だが、最も読み込んできたのは近現代文学。
文学史の誇る「最もくどくてどうしようもない男」たちを、誰もが持つロマンスの黒歴史から読み直し、日本人の恋愛史まで浮かび上がらせる。
未読でも既読でも楽しめる、ロマンスで読み解く日本近現代文学。

【目次】
まえがき
第一部 恋に恋してるだけ 泣き止めばケロッとするオトコたち
 元カノって、忘れなきゃダメですか――『舞姫』
 ママの呪縛――『不如帰』
 妄想こそはオジサンの生きる道――『蒲団』

第二部 結局のところ、俺様が主人公 意識高い系の憂鬱に悩むオトコたち
 大人のこころの謎解き――『こころ』
 妖婦は男性によって創られた――『痴人の愛』
 男性重視はどうにも隠せない――『ヴィヨンの妻』
 女を・棄てた・遠藤周作――『わたしが・棄てた・遠藤周作』

第三部 とことんウザい いつまでも諦めないオトコたち
 ロマンチック・ラブという「病」――尾崎紅葉『金色夜叉』
 「新しい女」まで後一歩は本当か?――菊池寛『真珠夫人』
 ほんとうに怖い恋愛の話――江戸川乱歩『人でなしの恋』
あとがき
参考文献一覧

内容説明

『舞姫』『こころ』『真珠夫人』etc.ああも女心をわからないのは、なぜ??古典文学ではあんなに巧みだったのに(嘆)。日本文学を偏愛し、恋愛下手も自認する翻訳者が文学史の誇る「最もくどくてどうしようもない男」たちから謎に迫る。未読でも既読でも楽しめる、ロマンスで読み解く日本近現代文学。

目次

第1章 恋に恋してるだけ 泣き止めばケロッとするオトコたち(元カノって、忘れなきゃダメですか―森〓外『舞姫』一八九〇年;ママの呪縛―徳富蘆花『不如帰』一八九九年;妄想こそはオジサンの生きる道―田山花袋『蒲団』一九〇七年)
第2部 結局のところ、俺様が主人公 意識高い系の憂鬱に悩むオトコたち(大人のこころの謎解き―夏目漱石『こころ』一九一四年;妖婦は男性によって創られた―谷崎潤一郎『痴人の愛』一九二五年;男性重視はどうにも隠せない―太宰治『ヴィヨンの妻』一九四七年 ほか)
第3章 とことんウザいいつまでも諦めないオトコたち(ロマンチック・ラブという「病」―尾崎紅葉『金色夜叉』一八九八年;「新しい女」まで後一歩は本当か?―菊池寛『真珠夫人』一九二〇年;ほんとうに怖い恋愛の話―江戸川乱歩『人でなしの恋』一九二六年)

著者等紹介

ディオニシオ,イザベラ[ディオニシオ,イザベラ] [Dionisio,Isabella]
1980年、イタリア生まれ。ヴェネツィア大学で日本語を学び、2005年に来日。お茶の水女子大学大学院修士課程(比較社会文化学日本語日本文学コース)修了後、現在まで日本でイタリア語・英語翻訳者および翻訳プロジェクトマネージャーとして活躍している。日本の古典文学、近現代文学を偏愛し、研究対象としていたのは森茉莉、幸田文(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

138
これは面白い。名作10編を、日本を深く理解するイタリア人が読み解く。はっきりしたコメントが小気味よい。「舞姫」の豊太郎の未練タラタラや「蒲団」のウジウジに怒りを燃やし、鴎外、谷崎、藤村、朔太郎のマザコンぶりも一刀両断。太宰お得意の女性独白体が「隠れ男性重視」だと見抜いてもいる。「痴人の愛」に蜻蛉日記を投影し、「真珠夫人」の瑠璃子が和泉式部とは鋭い。日本文学が好きでたまらないという雰囲気が迸り、こちらも嬉しくなる。この人はイタリア人の三宅香帆さんだ。文豪の名作を新鮮に読み解く女性たちの感性に脱帽。いい本だ!2023/01/25

たま

61
『舞姫』から『不如帰』『蒲団』『こころ』『痴人の愛』『ヴィヨンの妻』『私が・棄てた・女』『金色夜叉』『真珠夫人』そして乱歩の『人でなしの恋』まで10篇、日本の近代文学への偏愛に満ちた楽しい評論。この本をガイドブックに日本文学に親しもうと『舞姫』『こころ』を再読したが他の作品にはどうも食指が動かない。ディオニシオさんの解説は面白いが、実際の作品は男性主人公の一人相撲の色合いが強く、これって恋愛なのだろうかと不思議になる。著者はこの恋愛下手の原因をロマンティック・ラブの舶来観念に見ていて、一理ありそうに思う。2023/02/18

あやの

46
いや~、面白かった!まず、筆者は本当に「日本語学習者」なの?と思うほど自然な、イマドキの語り口。それもあって読むのもとても楽しいのだが、文豪の作品に登場する男たちの拗らせ具合と、それぞれの時代の理想に合致した女性たちの分析がどれも的確で興味深い。私たち日本人以上に当時の日本人を理解しているという感じ。取り上げられている作品で読んだことがあるのは半分強だが読んでなくても充分面白い。むしろ菊池寛とか江戸川乱歩とか読みたくなった。明治時代からの小説中の女性像の変遷を自分なりに考えてみるのも良いな。2023/06/10

アイシャ

33
読メをやっていなかったら、おそらく出会うことのなかった作者さん。日本語があまりに達者で、分かりやすくて驚いた。お恥ずかしいが私が読んだ事があるのは、夏目漱石の「こころ」のみ。その時確かに先生の奥さんの気持ちが書かれていないなぁと思ったし、下宿先で自殺する人も、妻を残して自殺する夫も困ったものだなぁと思った。文豪たちはファム・ファタール好きだな。で、読みたい本があったかというと無いなぁ。参考作品として名前が挙がる有吉佐和子の「悪女について」くらいかな。この作者さんの他の作品も読んでみたい。2023/02/04

KEI

25
ラジオのインタビューで知った本。先ずはイタリア人である著者の文学に対する博識に驚かされた。そして参考文献の多さにも。「舞姫」「不如帰」「金色夜叉」「こころ」「痴人の愛」など明治から昭和にかけての近現代文学において女性がどう描かれているかを紐解いた一冊。男の情けなさや狡さは事細かに描かれているのに対して、女たちの姿はどこか芒洋としていて掴みどころがない。面白かったのは「蒲団」このタイトルが「妄想こそがオジサンの生きる道」などとウィットに富んだ文章を楽しみ、読みたい本が増えてしまった。2024/03/04

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