出版社内容情報
覆面作家・天城菖蒲から、絶海の孤島に建つ天城館に招待された五人の推理作家。やがて作家たちは次々と奇怪を死を遂げ、そして誰もいなくなったとき、本当の「事件」の幕が開く。特殊設定ミステリの真骨頂!
内容説明
覆面作家・天城菖蒲の招待で、絶海の孤島に建つ天城館に集まった5人の推理作家。しかし館に主の姿はなく、食堂には不気味な5体の泥人形が並べられていた。不穏な空気が漂う中、かつて彼ら全員が晴夏という女性と関係していたことがわかる。9年前に不可解な死を遂げた彼女の関係者が、なぜ今になって集められたのか。やがて作家たちは、次々と異様な死体で発見され―。ミステリ界の鬼才が放つ、絶対予測不可能な謎解き!
著者等紹介
白井智之[シライトモユキ]
1990年千葉県印西市生まれ。東北大学法学部卒。在学中はSF・推理小説研究会に所属。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補となり、同作でデビュー。2015年に刊行した『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補、16年に刊行した『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞(小説部門)候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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H!deking
83
もうね、めちゃくちゃです。推理小説の大前提とかはすべて無視です笑 でも面白いんだよなー。気付けばなんか癖になる笑 重箱の隅を突けば論理が破綻しているような箇所もあるかもしれないけど、この作品はそういうの無しで楽しみましょう笑2023/11/15
HANA
70
孤島に集められた登場人物たちが一人、また一人と殺されていく…。これだけを読むとありふれたクローズドサークルなのだが、流石は特殊設定の名手でそこからが本番となっている。グロさを持つ割には地の文が面白く、ゲラゲラ笑いながら読む。特に死体発見のシーン大笑いし、解決の一部分では「盆回り」が脳内再生される始末。ただミステリの部分は流石に骨子がしっかりしている。ラストは極めて複雑で、某有名ミステリのトリックを連想させられるし。××された人間が××するというミステリには名作が多いと思うが、本書も紛れもなくそれであった。2024/05/03
キンモクセイ
53
絶海の孤島に集まった5人の推理作家。覆面作家に招待され天城館に集まるのだが、クルーザーの故障により帰りの燃料がない。まさに王道ミステリー。その島で繰り広げられる殺人で次々と死んでいく...と思ったらこれは新しい展開。そんなことあるか?と思うが、ここでは何でもアリだ。グロ描写が大丈夫でブラックだけど、ミステリーが好きなら読んでみてほしいな。でも王道ミステリーをこよなく愛する人はこれを読んだらどう感じるのだろう?と疑問に思うけど。一番困ったのは登場人物の名前の読み方。メモって何度も確認しながら読んだけど。2022/02/04
Kanonlicht
45
絶海の孤島に集められた5人の推理作家。紆余曲折の末、連続殺人事件が起きるのだけど、それを推理するのは…。映像化したらおもいっきりホラーなのに、文章で読むとコメディという、まさに白井ワールド。あまりに状況が異常すぎてこれしかないだろうという推理が語られると、すぐに新たな事実とともに別の推理が開陳され、そのどれもが特殊設定ミステリにしてはやたらと論理的(笑)。一方で、犯行動機も超常現象の理由も「んなものどーでもいい」とばかりのうっちゃり具合が逆に気持ちいい。今のところ著者の作品の中で一番好きかも。2025/04/30
みや
29
単行本既読。展開も結末も知っているのに、なぜこんなにも面白いのか。起こる事象、見せ方、文章、遍く面白い。多重解決の繰り返しで選択肢は減っていき、「これはもう無理だよ…」と絶望するほど酷い状況なのに、論理を積み重ねて犯人をたった一人に絞る手腕は本当に華麗で美しい。大胆すぎるイラストには爆笑した。ボツ案も含めてぶっ飛んだトリックの数々、ゲスな動機も大好き。想像力をフル回転させて、情景を思い描くと興奮が止まらない。視覚でも読書を楽しんだ。読書中はニヤニヤ笑えて、読後は幸せに満たされる。生きる活力を貰える怪作。2023/06/08