出版社内容情報
「逃げなきゃ。この女のそばにいるのは危険すぎる」
新人作家、汐田聖が目にした不倫妻の独白ブログ。ありきたりな内容だったが、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。美しく、それでいて親しみやすさもある完璧な女性。彼女こそ、聖が長年存在を無視され、苦しめられてきた実の母親だった。ある時は遠い異国で、ある時は港の街で。名前も姿さえも偽りながら、無邪気に他人を次々と不幸に陥れる……。果たして彼女の目的は、そして、聖は理解不能の母にどう向き合うのか?
内容説明
新人作家、汐田聖が目にした不倫妻の独白ブログ。ありきたりな内容だったが、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。美しく、それでいて親しみやすさもある完璧な女性。彼女こそ、聖が長年存在を無視され、苦しめられてきた実の母親だった。ある時は遠い異国で、ある時は港の町で。名前も姿さえも偽りながら、無邪気に他人を次々と不幸に陥れる―。果たして彼女の目的は、そして、聖は理解不能の母にどう向き合うのか?
著者等紹介
一木けい[イチキケイ]
1979年福岡県生まれ。東京都立大学卒。2016年「西国疾走少女」で第15回「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。18年、受賞作を収録した『1ミリの後悔もない、はずがない』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
240
『あれだけのことをしてきたにしては、あっけない最期だった』。そんなひとりの女の死を冒頭に描くこの作品。そこには”その女は、悪意なく、歌うように噓をつく”という陰の主人公とも言える英利子と、彼女に翻弄された人達の生き様が描かれていました。近寄りたくないと本に目を伏せたくなるような荒んだ暮らしの描写に嫌悪感が抜けなくなるこの作品。英利子がつく噓に読者もはめられていくのを感じるこの作品。全てが解き明かされる結末に、それでも『意味のない噓を吐き続ける』英利子という人物がどこまでも謎めいていくのを感じた作品でした。2023/01/26
いつでも母さん
181
恵まれない家族関係をこれまでも描いて来た一木さん。今回も派生してイヤ~な感じの親子関係っていうか、この母が怖い。おかしい。変だ。どれも違和感ありありで、どこに向かうんだろ?って正直しんどい。誰が本当を語っているのか、そもそも本当って何?こんなにスルリと生きている女は他の作家さんでもいるが、同じ匂いがするのが何ともざわりとする(褒めてます)『不可解で無秩序』最後の言葉に、私はとうにお手上げだ。同じ空の下にいたくない・・そんな感じ。2022/11/18
のぶ
162
何とも分かりづらい内容の本だった。自分の解釈が間違っているかもしれないが、汐田聖という新人作家が不倫妻のブログを目にする。内容はありきたりながら、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。彼女こそ聖が長年存在を無視され、苦しめられてきた実の母親だった。その行動が収められた5つの話に書き綴られている。どの話もとても内面的なもので、登場人物の感情を掴むのが難しかった。作中には汐田聖も登場するが、その存在も理解しがたく感じた。いずれにせよ共感できず、読後感のいい話ではなかった。2022/11/04
fwhd8325
155
応援していたアイドル歌手が、これまでの路線を変更したような迷いがあります。もちろん、好きな作家さんですから面白く読むことはできたのですが、私の中の戸惑いは、作品に追いつくことができたのだろうかと、じっと考えています。個人的には冒頭の「奈落の踊り場」でガツンとやられたなと思います。そこからは少し散漫になりながらも最終章「きみに親はいない」でホッとしたなと言うのが感想です。2023/01/07
モルク
138
最高に嫌な女の登場。連作短編集の最後で1つに繋がる。夫がいながら愛した男の母であったり、海外赴任先で語学力のある頼りになるマダム、無視されいじめを受けていた女子をこっそり助ける「カゲトモ」など様々な時代場所で登場してくる英利子。それぞれの話の主役ではないが、強烈な脇役、それが次第に主役を食う。こんなにサイコパスには会いたくない。会いたくないと言いながら物語に引き込まれる。これはホラーよりきつい!2023/01/15
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