出版社内容情報
竹本 健治[タケモト ケンジ]
著・文・その他
内容説明
土砂降りの雨の夜、湯河原の街で起きた轢き逃げ事件。犯人逮捕に至らないまま、再び起きた郊外の交通事故ではなぜか被害者が跡形もなく消えてしまった。連続する事故に興味を抱いた刑事の楢津木は、街中で次々に起こる奇妙な出来事や怪談にも繋がりを見出すが捜査は難航。彼はIQ208の天才棋士、牧場智久の力を借り真相解明に乗り出す。本格ミステリ大賞受賞作『涙香迷宮』の流れを汲む迷宮的サスペンス・ミステリ。
著者等紹介
竹本健治[タケモトケンジ]
1954年、兵庫県生まれ。『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」で連載し、作家デビュー。2016年、『涙香迷宮』が数々のミステリ・ランキングで上位に入り、17年、第17回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シキモリ
25
何の状況説明もなく、序盤から轢き逃げ事件や怪談話、噂話に謎の独白といった断片的なエピソードが次々と提示されるだけで、物語の行く末が全く掴めないまま物語が進むが、段々と各エピソードに繋がりがあることが示唆される。探偵役の登場を皮切りに、各エピソードが集結し、最後にパズルのピースがきっちり埋まる技巧性は凄いとは思うが、そもそものお話が面白みに欠けるので、読後感は今ひとつ。ロス・マクドナルドの「さむけ」を参考にしたとのことだが、あの作品ほどの引きは全くない。探偵役が長々と語るタクシー怪談の歴史が一番面白かった。2024/06/08
hnzwd
18
街で起きる事件や噂。過去に起きた轢き逃げ事件に繋がっていき、帯は盛りすぎな気もするけど、きっちりまとまってたかな。竹本健治作品でこんなに綺麗なのもあるのね。2022/05/26
MO-FU
8
最初は一見関係なさそうな事故話や怪談話が、断片的に語られてなかなか掴みどころがないのですが、それが徐々に関係性を持ち始め、最終的に一つの線に収束するのは気持ちよかった。(謎が魅力的過ぎて、真相が少し肩透かしなのはご愛嬌) 中盤で語られる、タクシー怪談のルーツに関するくだりはこれ一本で本書けるんじゃないかと思うほど面白かった。2024/02/12
kousei
6
轢き逃げ、尾行、怪談話し、バラバラのエピソードが繋がってスッキリというミステリーなんだろうけど、シーン転換が早くネタが小粒で登場人物と関係性も覚えられず、真相が分かってもそうなんだというだけ、作者の独りよがりが目立ち、いやはやがっかり。2025/04/09
ちょうすけ
6
これは面白い。バラバラに渡されるピースをひとつずつ埋めていき最後に全体像が見えてくるタイプの推理小説。登場人物と事象をひたすらメモしていく私にとって非常に好みな作品。すべては冒頭の「序としての三つの断章」に繋がる。初めは舞台の湯河原という土地に急激に増えた都市伝説から始まり、次第に事件に発展していく。ただ本当にジグソーパズルのように少しずつバラバラに情報が与えられるので、一気に読むかメモするかしないと途中でこの人だれだっけ?あの話ってなんだっけ?となる。最後に綺麗に終息するので気持ち良い。2022/12/01