出版社内容情報
江戸は西河岸町の呉服屋・常葉屋は、「ここにしかない品がある」と着物に五月蠅い江戸っ子たちにも評判お店。
箱入り娘のとわは、失踪した母の代わりに店を盛り立てようと日々奮闘している。
芝居を愛する兄で若旦那の利一は、面倒事を背負い込む名人。
犬猫を拾う気軽さで、ヤクザ者に追われる女性を連れて帰ってくるが、それにより大騒動が巻き起こり……。
内容説明
江戸西河岸町の呉服屋・常葉屋は「ここにしかない品がある」と着道楽のあいだでも評判のお店。女将である律が突然姿を消してしまったことで、箱入り娘の十和が店を繁盛させようと奮闘していた。十和の兄で芝居をこよなく愛する若旦那の利一は、面倒事を背負い込む名人。ある日、やくざ者に追われる妊婦を連れて来たことで、常葉屋は大騒動に巻き込まれてしまう…。呉服屋の看板兄妹が織りなす、きらびやかな江戸の人情物語!
著者等紹介
永井紗耶子[ナガイサヤコ]
1977年神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者、フリーランスライターを経て、2010年「絡繰り心中」で小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。20年刊行の『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』で、細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞を受賞。22年『女人入眼』が直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
156
面白い。呉服屋・常葉屋の利一と十和の兄妹(血の繋がりはない)が活き活きと描かれているのがまずもって好い。肝心の物語は謎が一杯・・十和の出生に、母・律の行方。幼馴染みの同心・勇三郎に頼りになる佐助・・人情絡んで続きが読みたくて仕方がない。『木挽町のあだ討ち』の永井さん、このシリーズは追いかけるに決まってる。2023/12/23
タイ子
95
永井さん、今回は着物の文様を背景に江戸の呉服屋を舞台に何かと悩みを持つ人々に手を差し伸べる兄妹を描く物語。ある日突然行方をくらました母を想いながら店を繁盛させる娘の十和。芝居が大好きで商売そっちのけで自由を愛する兄の利一。この利一が困ってる人を見るとほおっておけない性格。つい手を差し伸べるものだから相談事は後を絶たない。芝居好きな兄が通う小屋も木挽町とあってどこか嬉しくなる。永井さんの巧さが光る文中のセリフ、着物に関する蘊蓄、ジワリとさせる人情劇。十和の出生、母の行方、解かれていない謎は続編なのか?2023/04/27
真理そら
64
たぶんシリーズ1作目。着道楽のあいだで評判の高い呉服屋「常葉屋」の看板娘・十和には出生の謎がある。兄・利一は芝居を愛する一見遊び人だが、よく考えると商売上手な若旦那。二人の母・律は生死不明の行方知れず。文様と事件?を結び付けながらの3話構成。文様がもう少し話の筋に関わってると嬉しいかも。2023/03/23
pohcho
61
呉服屋の看板娘・十和が主人公。芝居を愛する若旦那の兄・利一は遊び人だけど商売上手。この兄がなぜかいつも揉め事を拾ってきてしまい、しっかり者の十和と一緒に解決することになる連作短編。女も手に職があれば生きていけるし、武士をやめることだってできる。お決まりのパターンにはまらず、それぞれが自分らしく生きようとするところが永井さんらしいなと思った。十和が体術の達人なのも面白い。母の行方と出生の謎があり、続きも楽しみ。2023/04/27
kei302
54
失踪した母はどこに? なぜ消えた? 十和の出生の秘密は? たくさんの?を残して終わってる。続きを早く読みたい。2024/07/22