出版社内容情報
中山 七里[ナカヤマ シチリ]
著・文・その他
内容説明
臓器を抜き取られ傷口を雑に縫合された死体が、都内で相次いで発見された。司法解剖と捜査の結果、被害者はみな貧しい環境で育った少年で、最初に見つかった1人は中国からやってきたばかりだと判明する。彼らの身にいったい何が起こったのか。臓器売買、貧困家庭、非行少年…。いくつもの社会問題が複雑に絡み合う事件に、孤高の敏腕刑事・犬養隼人と相棒の高千穂明日香が挑む。人気警察医療ミステリシリーズ第5弾!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茜
102
今回も社会問題と向き合わなければいけない作品でした。臓器売買と移植の問題、さらに貧困問題。。。他人事では済まない問題かもしれません。さすが中山七里氏、掘り下げの仕方が上手でした。犬養隼人は今回も倫理観と戦うこととなるのだけど刑事として、父親としてまた一人の人間としてと読むとちょっと辛かったです。正義とは何なのか?誰に対しての正義なのか?何をもってして正義なのだろうか?答えを見つけてください。2023/06/26
キナコ
94
シリーズもの。臓器売買がテーマ。未成年の意志とはどこまでが有効なのか考えさせられる。日本の臓器移植の難しさ、他国の臓器移植への価値観などが対比して書かれており、より日本の移植問題を考えさせられる。 何が正義なのか、犬養刑事シリーズは社会問題をテーマにしていることが多いので、いつも読了後に考えちゃう。今後も楽しみなシリーズ。2023/12/27
ま~くん
87
臓器移植。相変わらず極めて重いテーマに真っ向から斬り込んだ作品だった。子供ばかりが次々に不審死体で発見される。臓器の一部が切り取られ、杜撰な縫合痕を残した状態で無惨に放置。裏には臓器売買に手を染めるブローカーの影が見え隠れしていた。犬養と明日香のコンビが今回も真相解明、犯人逮捕に向けて奔走する。しかし、背後には一筋縄ではいかない巨大な闇が横たわっていた。国、人種によって死生観が大きく異なるのは理解出来る。日本はこれからどういう進路を選択するのか。舵取り次第で、安定した穏やかな終焉を迎えらるれと信じたい。2022/08/20
dorimusi
72
華族に透析患者がいるためか、1作目に続いて臓器移植がテーマ。でも今回の方が社会問題と直接つながってる。今回は臓器売買に貧困問題を絡めて、日本の法律の弱いところを見せつけてくる。そのせいか結末が重たい。正解のない問題でもあるんだろうけど……読後感はなかなかの後味の悪さ。 そのうち犬養も病みそうだなぁ。2024/01/03
mihya
70
刑事犬飼隼人シリーズ5作目。このシリーズはいつも重い。今回は貧困と臓器売買がテーマでやっぱり重い。最後の逮捕者は多少すっきりしたものの、犬飼が背負ってるものが増えるエンディングにやるせない気分になった。2022/09/04