出版社内容情報
人種、性別、国籍――
社会的な制約を受けながら
その障壁を打ち砕いた人々の物語
ヨーロッパを中心とした考え方は数学にも及んでおり、これまで、古代ギリシャ以外で生まれたものはすべて「民族数学」として脇に追いやられていた。そのため、論理的に一方向に進んできたと思わせる数学の歴史は、実際ははるかに多様で複雑であり、混とんとしている。著者の二人はこれまで数年がかりで世界各地の数学にまつわる資料を収集。六大陸で数千年にわたって数学分野に貢献したにもかかわらず、見過ごされてきた人々に光を当てることに成功した。知られざる先駆者たちの物語へようこそ。
「数学の歴史を掘り下げれば掘り下げるほど、私たちは事実がいかにゆがめられてきたのかを知り、それに対して何かしなければならないという思いを強めたのである。(中略)数学とはアイデア、つまり着想を起点とし、その着想を結論に導くまでの考え方を生み出す学問である。様々な地域や文化圏によって広げられる思考の多様性(ダイバーシテイ)は、数学において必要不可欠なのだ。(「プロローグ」より)