出版社内容情報
浅草のレビュー小屋舞台中央で起きた残虐な殺人事件。魔女役が次々と殺される――。不適な予告をする犯人「魔女の暦」の狙いは? 怪奇な雰囲気に本格推理の醍醐味を盛り込む、傑作長編推理
内容説明
金田一耕助は浅草のレビュー興行の舞台上で恐るべき事態が勃発すると聞き、劇場に向かった。3人の女が肢体をさらして踊るちょうどそのとき、1人の女の胸に毒矢が突き刺さる。そして、何者かがカレンダーに記した予告どおりに、犠牲者は増えていき…。劇団内部のこじれた愛憎関係が、全ての関わる者をあやしく演出する表題作「魔女の暦」に、ヌード・ショウに君臨する女王をめぐる「火の十字架」を加えた愛慾と業に満ちた傑作。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説雑誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)などの名作を次々と発表。76年、映画「犬神家の一族」で爆発的横溝ブームが到来。今もなお多くの読者の支持を得ている。81年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
96
【金田一耕助シリーズ】「魔女の暦」「火の十字架」の、中編2作品。戦後のストリップ劇場が舞台、戦争の悲劇から生まれ出て来た殺人を描いている。どちらも予測される結末へ促されるものの、その通りの終わりにならない所に物語の特徴がある。ただタイトル作品は、登場人物に感情移入出来なくて、本当の意味でのどんでん返しを、味わえなくて残念でした。「火の十字架」も背景は似た設定ではあるのだが、こちらは「顔の無い死体」のトリックである。現代医学では簡単に特定出来る遺体も、謎解きという上で当時のトリックはミステリの醍醐味である。2022/09/18
紫陽花
39
魔女の暦、火の十字架の短編二作品で構成されています。時代は、戦後の混乱期からようやく復興に向けて進み出したころの日本です。数十年前に読んだときは、やや懐かしいながらも身近に感じた時代背景での物語の展開でしたが、今読むと別世界ですね。マッチ、ストリップ劇場、日めくりカレンダー、ソ連からの引き揚げ、防空壕…。時代を感じさせる内容でした。2022/06/25
雨
32
このエログロさが金田一シリーズだなぁと。収録されている2編とも読んだことがなかったので復刊はありがたいな。2021/12/30
備忘録
19
中編2編 どちらも戦後を経て復興期に入った頃のストリップを舞台にした事件 登場人物が性に奔放な人物が多く、下世話な話題も多々見られる トリックの緻密さよりは、複雑な人間関係を探りながら犯人を探していくという内容2025/01/30
coco夏ko10角
19
金田一耕助シリーズ、中編2作収録。当時の空気が。『魔女の暦』もよかったけど、『火の十字架』の方がテンポもトリックも良くてより面白かった。2021/12/10
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- 闇の歯車 中公文庫