出版社内容情報
その美貌と聡明さを武器に、忍びとして活躍する村山たかは、ある時、内情を探るために近づいた井伊直弼と激しい恋に落ちる。だが、苛酷な運命が二人に襲いかかって……。著者の代表作が新装版で登場!
内容説明
彦根・多賀大社で忍びとして生まれ育った村山たかは、美貌と才能を併せ持っていた。ある日、井伊家の内情を探るため近づいた若き直弼と思わぬ恋に落ちる。だが心通わせる日々は束の間、幕府の大老となった直弼と、密偵としての宿命を背負うたかは、否応なく激動の時代に呑み込まれていく―。「悪女とレッテルを貼られた歴史に名を残す女性たちの、本当の姿を描きたい」著者の真摯な思いを体現する、第26回新田次郎文学賞受賞作。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
静岡市生まれ。上智大学文学部英文科卒業。外資系企業勤務を経て、翻訳・作家活動に入る。1996年、『眩惑』でデビュー。2003年、『其の一日』で第24回吉川英治文学新人賞を受賞。07年、『奸婦にあらず』で第26回新田次郎文学賞を受賞。12年、『四十八人目の忠臣』で第1回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)を受賞。18年、『今ひとたびの、和泉式部』で第10回親鸞賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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犬養三千代
7
多賀神社で忍びとして育った少女と井伊直弼との交流…時代に翻弄されているようでしっかりした足取りのタカ。愛する人や子を失っても淡々と生きる。三条で晒されても生きる。凄い生命だ。それも、たった一人本当に愛した人の面影を抱いている。孤独に打ち勝ったのは凄い。2023/12/22
のあこ
3
長いけど、疲れるけど、面白かった。 幕末期の動乱にを生きる多賀大社坊人たか女が愛に生き、志に生きるお話。 昨春、彦根城と周辺のお寺まわったけど、先に読んでたら、現地での感動も違ってただろうな。 私の志って何だろう。2023/07/03
まる
3
文庫本としては厚めの600頁余。気分が乗らず2ヶ月もかかってしまった。だが、作者の思いは伝わって、幕末の悪役直弼は文武両道の真っ直ぐさへと置き換わった。2人の恋愛を描く前半、藩主となった直弼が間者と知ったたかとの離別でいよいよ密偵の部分になると、たかの動きが殆どと言っていい程に描けていない。肝心の所なのに小説らしい膨らみがなく残念。直弼暗殺からたかの張り付けは盛り上りがあるのは、やはり資料の多さがイメージを膨らませるのだと感じた。直弼とその女密偵という面白そうな題材に安易に飛びついた結果だと思った。2023/01/27
pagrus55
2
★★★2025/03/25
りんごさん
2
この本の登場人物の女性は誰一人奸婦にあらず そもそも奸婦=悪知恵に富む女だそうだが都合のいいときは才女、悪い時は奸婦なのでは? 多賀大社に生まれ坊人となり諜報のために直弼に近ずくも一生をかけて直弼を想う村山たか女の生涯 井伊直弼も教科書で知って以来なんとなく嫌な悪い奴だと思っていたがこの本を読んで意識が変わった、こんな人だったなら たか女が命がけで思い続けるのも納得だ(かなり感情移入してしまっているということか?笑) 先生こと長野主馬はダメ、成育歴から来る劣等感から解放されずに性根がいじけた人に見える2025/03/11