内容説明
姑との不和に疲弊しきった井沢恵子は、マザコン夫に離婚届を突きつけた。自活のための職を得るべく、かつて交流のあった女性作家・梶村久子のもとを訪ねたところ、居合わせた評論家の大村が原因で喧嘩別れをする羽目になってしまう。恵子に邪な感情を抱いた大村は「週刊婦人界」の記者の職を斡旋するが、露骨に見返りを求めるようになって…。昭和のレジェンド作家・松本清張が描き出す、痴情と策略の濃密な人間ドラマ。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年、福岡県生まれ。印刷工を経て朝日新聞西部本社に入社。53年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。56年、朝日新聞を退社し、作家活動に入る。67年、吉川英治文学賞、70年、菊池寛賞、90年、朝日賞を受賞。社会派ミステリーを始め、歴史・時代小説、古代史・近現代史の論考まで執筆は多岐にわたる。作家生活約40年の間に、随筆や日記も含めて約1000編の作品を発表し、編著も含め約750冊の著書を刊行した。92年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
56
ehon注文本。 静電気でくっつくゴミのように次から次へと寄ってくるクズ(男女共)ども。感受性を書かないのではなく書けない女流作家の梶村久子は多分著者の身近にモデルがいると見ました。マザコン夫は離婚してもなお主人公恵子に執着し、恵子は「はやく次の奥さん見つけなさい」と忠告しますが、個人的な見解からしてマザコン夫はそもそも結婚に向いていないと思いますよ。むしろ母親と結婚してみては…?2024/12/08
佐島楓
37
ものすごく久しぶりの松本清張。感想は下巻にて。2021/12/03
yonemy
3
弱い男、ずるい男、せこい男、甘える男と、もうどうしようもないくらい嫌な男のオンパレード!主人公恵子の男運が悪いのか、彼女の脇の甘さがダメンズを引き寄せるのか。恵子は女性達との関係も良好とは言えず...孤高の女なのだ。往時の男社会の風習や世間体を読み取り、現代はずいぶん解放されたものだと思う。経済的に安定した「妻の座」よりも自己責任と言われながらも「心身の自由」を選ぶ女性が増えたのはうれしい。清張先生のヒロインがやられっぱなしで終わるわけないので、八面六臂の活躍を期待して下巻へGO☆彡2023/02/20