出版社内容情報
「ゲームをしよう。兄は守る。弟は奪う」
父親である<鵺>に残酷なゲームを強いられる伊織。
勝利条件は、弟で<鬼>の青目から、
小鳩ひろむを守り抜くことだ。
だが、刑事の脇坂は意識不明のまま、
さらに警視庁Y対は解体され、
鱗田を頼ることもできない。
伊織は、夷、マメ、そして<犬神>である甲藤の力も借り、
全力でひろむを護衛するが……。
「このゲームは圧倒的にディフェンスが不利だ」
妖奇庵の皆の運命は。本編決着巻!
(妖奇庵の奇は、正しくは王扁に奇です)
内容説明
“鵺”から持ちかけられた非情なゲームに、伊織は…。本編、決着!
著者等紹介
榎田ユウリ[エダユウリ]
東京都出身。代表作は“妖〓庵夜話”シリーズ(角川ホラー文庫)ほか、榎田尤利名義でも著作多数。巧みなストーリーテリングと、魅力的なキャラクター描写で、多くの読者を魅了している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
142
ついにシリーズ最終章。青目そして鵺との対峙と決着が…青目の執着したものは伊織、伊織が払った代償、歪んだ家族…そんななか脇坂の成長は嬉しい。ほっとすると同時に寂しさがこみあげる。余韻のある終わり方だった。2022/10/28
本詠み人
100
本編決着巻…ラストシーンには無償の愛を。切なく悲しい…けれど、これ以上の決着はなかったと思う。前巻の流しそうめんがずいぶんと遠くに感じる。ちょうどコミックペーパーにその様子が…描かれた面々は私の想像とはちょっと違ったけど、和気あいあいとした雰囲気は懐かしく嬉しかった。「あって当然だと思うすべてのものは、永遠ではない。むしろいま自分の手にあることが奇跡なのかもしれない」目の前の愛しいものを大切にすることを忘れてはいけない。この手から零れ落ちぬように…大切に、大切に。2021/10/14
眠る山猫屋
87
読み切るのが惜しくて随分寝かせてしまった。無駄もなく美しく読み易い文章、登場人物たちの際立った存在感。その中で妖しく揺れ動き正体を見せない鵺の脅威。いつの間にか忍び寄り、人々を操る怪異のような鵺。そんな敵の裏を画き、迎え討つ事はできるのか。脇坂刑事が倒れ、小鳩ひろむが人質に取られ、裏切り者さえ現れる始末。けれど青目が甲藤が立場を入れ換えつつ、結果的に鵺を追う妖奇庵の面々に協力を惜しまない展開はすごい。前半にあるこれまでの事件の経過もさりげなく語られている親切さも凄い技量。切なさの薫るラストシーンも、また。2023/03/30
カナン
65
どこをどう切り取っても全てラスト・シーン。最初で最後の一瞬。私が見た最後の貴方が、微笑ってくれていますように。私が最後に見た顔が貴方で良かったと、そう信じられますように。貴方が犯した最後の罪が、私を自由にしてくれる罪であり続けますように。…はー、まだ胸いっぱいで感想が言語化できないよ。泣きたいのに泣けないこの感じ。夷ー。脇坂ー。甲藤ー。マメー。おかえり。そしてただいま。変わり続ける時の中で出逢えたことを、今も繋がっていられることを、尊い奇跡だと云うことはまだ許されるだろうか。おかえり伊織、おかえり、――。2021/09/09
はにこ
64
こんな酷い環境で育った青目にさすがに同情する。父親はクズだけど、母親も大概だな。一人で解決しようとする伊織。そんな伊織に加勢してくれたのが脇坂なのが良かった。脇坂最高かよ。かっとうは、怪しいなと思っていたけど、思ったほど悪者じゃなくて良かったよ。これで終わりかと思ったら続編あるんだね。脇坂、幸せになってね。2025/01/31
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