出版社内容情報
「僕に解けない戒名の謎はない」前代未聞の戒名探偵が、墓石に刻まれたたった数文字から故人のすべてを解き明かす。戒名に関するあらゆるトラブルは、仏教にめっぽう詳しい謎の高校生、外場薫にお任せあれ!
内容説明
のほほんと生きる金満寺の次男春馬は、金に汚く横暴な住職代行の兄に寺の無理難題をふっかけられてばかり。今日も古い墓石の身元を探している。手がかりは石に刻まれた、たった数文字の戒名だけ―!?だが、春馬には同じ高校に通う『戒名探偵』―外場薫という切り札があった。仏教に異様に詳しい彼は、墓石を見ただけですらすらと身元を言い当てるのだ。仏教界の謎を外場=卒塔婆くんが解き明かす日本初戒名ミステリー。
著者等紹介
高殿円[タカドノマドカ]
1976年兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア 三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。漫画原作、舞台脚本も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
58
読み友さんのレビューを見て読んだ。4話で構成された連作短編だが、前半3話は、本作の過半を占める「いまだ冬を見ず」の前振りなのだろう。謎の高校生・外場くんの豊富な知識で安楽椅子探偵の雰囲気を醸し出す。麻布の寺の次男坊・春馬の能天気ぶりが、兄で住職代理の哲彦から虐げられている彼の境遇を軽く読ませてくれた。第4話のペリリュー島で玉砕した日本人の御霊に対する供養の思いに、単なるラノベではないものがあり、感動した。著者の作品は初読みだが、積読本『トッカン』の作者だった。そうだ、『トッカン』を読もう!2022/01/16
papako
52
最初はなんだかよくわからないなぁと思いながら読んでいましたが、戦争から戻って一代でのしあがった男の秘密から現地に行ったところはひきこまれました。続編ありかしら。2022/07/26
坂城 弥生
49
戒名ってこんなに深い意味が込められている物だったのか…春馬がちょっと五月蠅いけど面白かった。2022/01/11
はつばあば
49
読み友さんのレビューと本の題名に魅かれて。この卒塔婆くん、パラオで消えてしまう幽霊の存在だと思ってたのにほんまもんの人間でした(;´∀`)(笑)。妖ものが好きだと実と虚の見分けが難しい。戒名もお墓もそろそろ用意をせねばならない年齢になってきましたが、実際どうなんでしょうね、必要なんでしょうか。うちは娘ばかりだし後継ぎなんてそんな御大層なものはねぇ。それにしても終戦間際時代を高殿さんが書かれるなんて・・驚きでした。戦後70年以上たっているのにまだ帰ってこれない遺骨があるのです。戦争なんてとんでもない事です2021/09/29
akiᵕ̈
36
東京麻布にあり徳川の代から300年続く由緒あるお寺・金満寺。その次男坊の春馬は高校生。寺を継いでいる兄には頭が上がらず、あれこれ指示を出され振り回されるも、やたらと寺や戒名に詳しい同級生・外場を頼りにその謎を紐解いて行く。この外場くんを動かすものは高級緑茶に合う和菓子。お寺には檀家さんから常にお供えがあるから、双方おあっつらえで話が早い!戒名の成り立ちは勿論のこと、宗派による様々な違いや仏様の位、仏教用語に纏わる普段使っている言葉の意味など、かなり細かく書かれているので勉強になって面白かった。2023/01/08