出版社内容情報
ののとはな。横浜の高校に通う2人の少女は、性格が正反対の親友同士。しかし、ののははなに友達以上の気持ちを抱いていた。幼い恋から始まる物語は、やがて大人となった2人の人生へと繋がって……。
内容説明
ミッション系のお嬢様学校に通うののとはなは、気の合う親友同士だ。庶民的な家庭に育ち、頭脳明晰、クールで辛辣なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手なはな。自分の気持ちを恋愛感情だと自覚したののは告白する。だが、不器用に始まった2人の恋は、ある裏切りによって崩れ始めて…。一生に一度の運命の恋が、その後の人生を導いてくれる。書簡の往復だけで緻密に紡ぎだされた、大河小説の最高峰。
著者等紹介
三浦しをん[ミウラシオン]
1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』(草思社)でデビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』(文藝春秋)で直木賞、12年『舟を編む』(光文社)で2012年本屋大賞、15年『あの家に暮らす四人の女』(中央公論新社)で織田作之助賞。19年には『ののはな通信』で島清恋愛文学賞、河合隼雄物語賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dr2006
94
往復書簡(手紙、メール)のみで編まれた作品。自由な性に対するしをんさん的な切り口に感銘を受けた。始めて知った自他愛とその経験に甘く縛られることの窮屈さが繊細に描かれている。「のの」と「はな」はお嬢様学校と言われる高校のクラスメート。茎の細さに対して大きな百合の花が風を受けて揺れる姿が、信頼と疑心との間で揺れ動く「はな」と「のの」に重なる。惹かれ合う二人を引き裂いたのは、結局惹かれ合う気持ち自体なのかもしれない。昭和から平成への時代の流れの中で、逞しく生きていく二人の女性の姿を描く作品としても堪能できる。2022/10/21
よしのひ
86
「のの」と「はな」の手紙やメールだけで進んでいく展開。高校の甘酸っぱい手紙のやりとりから、大人になって数十年後にもあるやりとりに、壮大さがあった。また文字を送るという行為って、相手に自分の気持ちを伝えるのはもちろん、心の中にあるものを吐き出すことによって、自分を見つめ返す機会になっていたんだなと、彼女たちから学んだ。そうか、だから手紙やメールでも鏡に例えることができるんだなと。また終わり方も、この2人だからこその展開で、最後まで1つの物語であった。そして何より2人を1人で言葉巧みに操るしをん氏偉大なり。2023/04/19
水色系
85
手紙は、特定の相手に向けた気持ちが綴られているもの。書簡体小説という形式は、2人の主人公ののとはなの、友情とか愛情を超えた濃い繋がりを表現するのに最高だと思う。ゾンダ共和国、私も思わずググった。存在しないのが信じられないくらいリアルだった。2人の往復書簡が第5章、第6章と続くことを願う。2021/07/28
さくりや
83
初・三浦しをん!読みやすかったが登場人物の誰にも共感することなく読了した。それは私が恋愛感情もなければ人への興味も薄い人間だからで、そうじゃない人たちにとっては感動的なフィナーレを迎えたんだな、とは察した笑。何なら若い女に手を出せるから楽しい与田と面白い本を読めるから楽しい私は同類だろうし。ゾンダ共和国の暮らしは興味深く、架空の国だとは思えなかった。外交官の生活を垣間見れたのも良かった2021/08/06
りゅう☆
76
はなを恋愛対象として好きなのの。二人の昭和59年からの往復書簡。ののがはなに気持ちを打ち明け、お互いの愛を確信した二人は秘密の恋人同士へ。だけど幸せ絶頂期に襲った裏切り。修復不可能のまま卒業。その後二人は再会したが衝撃な事実で再び別れが…。20年後、時代はメール。通信再開するも事態は思わぬ展開へ。一生に一度の運命の恋。二人が唯一無二であること、愛の深さを実感。でも前半若者の恋愛表現がおばちゃんにはこっぱずかしくて、後半大人になった二人の環境が私と全く別世界なのでグイッと入り込めず感情移入が希薄だったかも。2023/07/06