失われた岬

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  • サイズ 46判/ページ数 575p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041109908
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

古くからの友人も、ノーベル賞作家も、その「岬」に消えた――

この物語はあなたを、思いもよらぬところまで連れて行く。

人が人であるというのは、どういうことなのか。
練熟の著者が今の時代に問う、神無き時代の新たな黙示録。


 以前から美都子が夫婦ぐるみで付き合ってきた、憧れの存在である友人・清花。だが近年、清花夫妻の暮らしぶりが以前とは異なる漂白感を感じさせるようになり、付き合いも拒否されるようになったのち連絡がつかなくなった。清花たちは北海道に転居後、一人娘・愛子に「岬に行く」というメッセージを残し失踪したようだ。彼女の変貌と失踪には肇子という女性が関わっているようだが、その女性の正体も分からない。
 時は流れ約二十年後の二〇二九年、ノーベル文学賞を受賞した日本人作家・一ノ瀬和紀が、その授賞式の前日にストックホルムで失踪してしまった。彼は、「もう一つの世界に入る」という書置きを残していた。担当編集者である駒川書林の相沢礼治は、さまざまな手段で一ノ瀬の足取りを追うなかで、北海道のある岬に辿りつくが――。

 やがて明らかになる、この岬の謎。そこでは特別な薬草が栽培され、ある薬が精製されているようで……。
 近未来から戦時中にも遡る、この国の現実の様相。

 岬に引き寄せられる人々の姿を通して人間の欲望の行き着く先を予見した、著者畢生の大作。

内容説明

謎の岬、「消えた」人々…。戦時中まで遡る、この国の現実と暗部。真実を知って、あなたはどう「生きますか」?美都子の友人・清花の暮らしぶりに不思議な清貧感が漂うようになり、やがて連絡がつかなくなった。北海道に転居後「岬に行く」と言い残し失踪したらしい。時は流れ約20年後の2029年、ノーベル文学賞を受賞した日本人作家・一ノ瀬が「もう一つの世界に入る」とメッセージを残し授賞式の前日に失踪した。担当編集者の相沢は彼の足取りを追い、北海道のある岬に辿りつく。そこでは特別な薬草が栽培され、ある薬が精製されていた。

著者等紹介

篠田節子[シノダセツコ]
1955年、東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン―神の座』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。20年紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

297
篠田 節子は、新作中心に読んでいる作家です。600頁弱、完読しました。北海道の果ての岬に引き寄せられる人々の過去・現在・未来の警鐘小説、未来は本書のようにディストピアが待っているのでしょうか? https://www.kadokawa.co.jp/product/322009000356/2021/11/18

パトラッシュ

195
謎めいた薬物やカルトに惹き寄せられた家族や友人が失踪する小説は多いが、超現実的なホラーやSF的原因を求めるかリアルな悪意や陰謀を描くかで作家の方向性が異なる。辻村深月や村上春樹は前者で、桐野夏生や篠田節子は後者か。人らしい欲望を失って北海道の岬に消える人びとを追う本作も、戦時中の覚醒剤開発に絡む薬学の暗黒史から外国のスパイ活動まで出ると現実の物語として収拾がつかなくなる。一応の事情は何とか明らかになるが、白頭山噴火という巨大災害で崩壊する結末は物語を放棄したようで『デビルマンレディー』の最終回を思わせた。2021/12/04

のぶ

139
北海道の人の入り込めない岬を舞台とした物語で、前半と後半で大きく変化した作品。前半の主人公、美都子の友人夫婦が、姿を消しその消息を突きとめるため、岬に辿り着いた。片やノーベル文学賞受賞の一ノ瀬が授賞式を前に消息を絶つ。彼は、「もう一つの世界に入る」という書置きを残していた。この岬に何があるのか?後半に入り、明らかになる、この岬の謎。そこでは特別な薬草が栽培され、ある薬が精製されている模様だ。時代が過去と未来に幾度も入れ替わり、やや混乱した。とても長いが、現代社会に対する警鐘を鳴らされている気がした。2021/11/20

Richard Thornburg

134
感想:★★★★★  久々の篠田センセの新作!  最初のうちは北海道の最果ての地に消えていく人々と、その謎についての暗中模索的な手探りの調査等が柱になってストーリーは進んでいくのですが、中盤はガンや依存症に対する薬&治療法の話、中盤以降はそういった薬の開発された背景と、盛りに盛った感のある濃い内容です。  それに加えて最初から最後までさりげなく日本周辺国からの軍事的脅威を匂わさせながら、ストーリー中での薬が開発された背景を重ね合わせて緊張感を醸し出しています。2021/11/23

うっちー

132
長すぎだ。主張はもう少し簡潔に2021/12/20

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