出版社内容情報
コロナの時代だからこそ、前向きな気持ちになりたいあなたへ。珠玉の作品集
内容説明
娘は幼い頃から父親に反発してきた。それは結婚が決まった時でさえも、しかし父親にがんが見つかる。式を控えたある夜、娘は父の背に優しく声を掛けた。「お父さんみたいな強い人、いないよね」(「この手に抱きしめて」)。身分を越えた厚い忠義、軽やかで不思議な恋愛、再び結ばれた友情、親子の愛の記憶―物語の名手によって紡がれた5つの物語。人として優しく前向きな気持ちになりたいあなたへ贈る希望あふれる珠玉の作品集。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
岡山県生まれ。大学在学中から児童文学を書き始める。『ほたる館物語』で作家デビュー。『バッテリー』およびその続編で野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
140
5つの短編集が繋がっているのかな?と思いましたが違いました。それでも明日が来るという希望がある内容でした。一番良かったのが「この手に抱きしめて」父が強がりなどを捨てて、素直に子どものハレに日に臨む姿が良かったです。それと途中で長距離選手を諦めてシューズの製作をする主人公と、東京マラソンに挑戦する友人の物語も良かったです。SFの世界はちょっと分かりかねましたが··。作家デビュー30年記念としてのインパクトには欠けますが、軽く読みたい時にはオススメです。猫は出てきませんでした。2022/03/05
タイ子
103
今の時代に前向きになれる短編集5編。やはり私にとっては岡山が舞台の「烏城の空」ですね。岡山城主、池田綱政を支えた津田永忠と後楽園、和気閑谷学校等を造営した石工たちの物語。永忠は知られていても、石工たちの事は初めて知り感動。「この手に抱きしめて」病気になって初めて見えること、感じる事がある。花嫁の父が娘に送る言葉、娘が父に送る言葉。「囚われていては見えない真実がある。固執していては掴めない幸せがある」なるほど!2021/12/17
ぶんこ
57
5編の短編集で、どれも明日への希望が垣間見えるラストが良かったです。父親の娘への思い、石工の誇り、なんとカレシが宇宙人で祖母も?、そしてフルマラソンに挑戦する学生時代の親友と自分をかえりみる悠斗。最後の桃畑での作品が最も琴線に触れました。それは満開の桃畑を見た強烈な思い出があったから。そこでなら「桃は記憶の花だ。桃の下に立つと、埋もれていた記憶がよみがえってくるんだ」・・ありえる。もう一度桃畑を見に行き、今度は桃の下に立ってみたい。2022/03/31
のんちゃん
57
あさのあつこさんが企業冊子、自治体、アンソロジー等に発表された作品を作家デビュー30周年記念として集め、出版された短編集。ほろっとくる話、時代小説、SF、スポーツもの、恋愛ものなど等、あさの先生の書かれるジャンルを一冊で楽しめるお得な短編集となっている。そして解説は近藤史恵先生。この解説がまた素晴らしく、良い書き手は良い読み手なのだと、あらためて実感する。私はスポーツ下手なのでそのジャンルの物語を敬遠しているが、近藤先生の解説でそのジャンルも読みたくなった。頁数の少ない作品だが厚さ以上の読み応えがある。2022/02/16
baba
52
表題のように、明日への希望を見出す短編集。時代物からスピンオフのような軽めのもの様々。中でも「烏城の空」の石工の話が良かった。2021/12/25