内容説明
流行り病の弟を助けるため、高額な報酬と引き換えにワルキューレとして戦場に出ることを決意した心優しき少女・ソフィー。戦場で出会った将軍・イェンスは、新入りの彼女を認めず突き放されてしまう。しかし諦めず一生懸命に戦うソフィーの姿が、彼の態度に隠された過去を解きほぐしていく。信頼できる相手となった2人は、残された僅かな希望を掴むべく共に戦う―。「君は、死なせないから」第18回小説大賞“奨励賞”受賞作!
著者等紹介
青川志帆[アオカワシホ]
兵庫県出身。第18回角川ビーンズ小説大賞奨励賞受賞。『死に挑むワルキューレ―紡がれし運命のサーガ』(受賞作改題、改稿)にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆなほし
33
高額な報酬と引き換えに、十割死ぬと言われるワルキューレとして戦場に出る事を決意したソフィーだが…。魔術で体を作り替え、敵陣が仕向ける死神に唯一対抗出来るワルキューレとなって戦うという独自性が良い。あまりにも死に近い戦場だからこそ、ワルキューレと将校は惹かれ合う。禁断の恋にはやはりドキドキさせられる。恐怖も悲しみも経験し、段々と戦場に立つ覚悟を決めていくソフィーの精神的成長の過程が繊細に描写されており、一緒になって共感できる。緊迫のクライマックスから、堂々としたエピローグまで清々しく読めて楽しめた。2020/12/23
シャルル
4
農民であるソフィーが弟を助けるため、将軍イェンス付きの半死半生の戦乙女(ワルキューレ)になり戦場を駆ける物語。 読みやすいし悪くはないのですが、物語がたんたんと進むため、こちらまでたんたんと物語を読んでしまい、傍観者になってしまうというか感情が乗らないというか…イマイチ盛り上がりにかける。 後、世界観がせっかくの北欧なので、もっと北欧要素と絡めて欲しかった。 悪くはないけど、パンチが足りなかった作品ってのが総合評価です。 2022/02/04
史
4
土色と灰色の世界から始まり、絶望の中で芽生えるものと付き合いながら、最後にはハッピーエンド。淡々と進むのは戦場はドラマチックではないということを表しており、だからこそフィナーレの盛り上がりがより滾らせるものになっている。少女ノベルレーベルはその緩急が優れた作品が山のようにあり、この作品は過去の作品に決して劣らないものがある。男と女のバディであり、ロマンスとはこのことか。面白かった!!2021/03/12
菊地
3
「ワルキューレ」という凄惨で儚ない設定が胸を締め付ける作品でした。 死に近しい環境に置かれた少女たちが刹那的に生きる姿、その少女たちに囚われ・寄り添う兵士達の姿がどこまでも切なかった。 全体的に戦争の設定が雑だったり、ラスボスのキャラクター像がブレッブレだったりしたけど総合的には面白かったです。2021/01/03
真尋
3
魔術で肉体改造された主人公と前線勤務の貴族な将軍様の恋愛戦記。主人公側の国が不利な陣営でそこから打ち勝つために足掻く姿は、昨今のチートで無双が流行りなラノベと対極な内容に新鮮さを感じた。あと溺愛系も多い昨今に反して融通が利かないレベルにストイックで誠実な将軍様のせいで糖度は低め。流行と対極で固めた内容だったので流行りに対するアンチテーゼなのかなとか思ったり。人は死ぬしテーマも重いので軽く読むには疲弊するけれど、話の組み立ては練られて作られているので読了後は悪くない。2020/11/30