内容説明
秘めた愛は、歴史の波頭を漂った―。一九〇一年、軍閥・張作霖の長男として生まれ、二〇〇一年に百歳で世を去った張学良。二〇世紀中国の歴史をそのまま背負って生きた男である。生前の張学良に取材した著者(会見日・一九九二年一月於台湾張学良邸)に、彼はこう切り出した。「あなたには、私と女性のことを話しましょう」以後、二〇年余。発言内容を著者は追い続けた。彼が愛し、彼を愛した六人の女傑たちとの秘史が、いま明らかとなる。戦争と革命という大状況も、一つの愛が左右していた。
目次
はじめに 二〇世紀一〇〇年の歴史を生きた男
第1章 一四歳の初体験―父・張作霖
第2章 世紀の離婚状―最高の妻・于鳳至
第3章 軍閥を支えた物理学者―第二夫人・谷瑞玉
第4章 “主義”を変えた純情―ムッソリーニ令嬢、伊公使夫人・エッダ
第5章 幽閉を支えた手―秘書、そして最後の妻・趙一荻
第6章 六六年目の愛の告白―蒋介石夫人・宋美齢
第7章 最高の女友達―中央銀行総裁貝祖貽夫人・蒋士雲
おわりに 愛と革命に殉じよ
著者等紹介
富永孝子[トミナガタカコ]
昭和6年山口市生まれ。同16年ハルビンに。同18年から同22年まで大連市に住む。引き揚げ後、同30年早稲田大学第一文学部卒業。雑誌記者を経て同33年日本教育テレビ(現・テレビ朝日)入社。同37年退社後、テレビ局を中心に広報、番組企画構成に参画。現在文筆家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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氷菓子
3
張学良はプレイボーイとして知られていたが、彼と関わった女性達とのエピソードを見る限り、嫌らしい好色さが全くない。自分の利益のためなら躊躇いなく他者を蹴落とす権力者達の中で、国を良くする事に一途で私欲のない学良に魅せられた女性が多かったのも当然であろう。賢く、学のある女性達が彼の力になりたいと手を尽くす様子からも、彼は女性をお飾りでなく、対等な人間として尊敬して接していたことがうかがえる。2021/06/13
あきこ
2
張作霖は知っていたが、張学良は知らなかった。本書の題名は宋美齢との愛の物語みたいになっているが、内容は違う。中国の内乱と日中戦争、孫文から蒋介石、蒋介石の死までの歴史物語である。中国の広い大地の中での激しい勢力争いと日本の参入、そして国共合作までの流れのなかで張学良という人と一族が味わった流転の人生は壮絶そのものだった。その舞台は世界中を動き回る。中国という国はあまり好きでなかったけれど、少し興味が湧いてきた。2014/10/25
takao
1
☆張学良は生きていた。 2018/01/09
ラララ
0
富永孝子 1931年生れ、昭和16年から22年までハルピン、大連在住。引き揚げ後、早大第1文卒、雑誌記者、テレビ局勤務を経て文筆業。 本作品は、張学良の一生を、渾身の取材で描いたノンフィクション。数々の女性との関係から、日中関係、西安事件、蔣介石との因縁を明らかに。2015/12/27
長老みさわ/dutch
0
東北軍閥の首魁張作霖の息子張学良。 関東軍や日本軍の立場から見たら辺境の軍閥の首魁にしか見えないが、実は蒋介石のナンバー2として中国軍の最重要人物であった。 で、あったが掃共を唱える蒋介石と衝突し西安事件により蒋介石を拘束。 事件解決後、逆に蒋介石により半世紀に渡り監禁されることになった張学良が、1992年に著者がインタビューした時の内容を元に、裏とりと周辺取材から執筆まで22年の歳月をかけて描いた大作ノンフィクション。 張学良を巡る6人の女性を中心に近代中国の歴史を描く!2014/12/14