出版社内容情報
若き日、型破りな戦争句で一躍俳壇の寵児となった鴻海。喉頭癌で声を喪った鴻海の招待を受け、作家・玄は、俳句を嗜んだ母の思い出を胸に、結社に出入りするが、鴻海の作品の中に、幾つかの剽窃の痕跡を感じ??。
内容説明
俳壇の重鎮・鴻海のパーティーに招かれた小説家・玄は、鴻海の主宰する句会に列座するようになるが、ある時、亡き母の句が鴻海のものとされていることに気付く。これはよもや、剽窃ではないのか。それとも主宰と母は、ただならぬ関係にあったのだろうか。何故今になって、巨匠は自分を側に置こうとするのだろうか。疑問を抱えた玄は、鴻海の求めで、彼の出身地にして『おくのほそ道』に描かれた地、石巻への旅に同道することになる。津波で被災した地で繙かれる過去、母の秘密。そして震災を機に露わになった現実の数々が、剥き出しになって玄に迫るが―。3・11を機に、二人を繋ぐ糸が露わになってゆく。著者、渾身作!
著者等紹介
三田完[ミタカン]
1956年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。NHKに勤務、ディレクター、プロデューサーとして主に歌謡番組を担当。2000年、「櫻川イワンの恋」で第80回オール讀物新人賞を受賞。『俳風三麗花』で第137回直木賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そうたそ
17
★★★★★ いまいち知名度がないようで残念至極。これほどの傑作はもっと多くの人の手に取られるべきだろう。「俳風三麗花」にはじまる三田さんの俳句小説の一つの完成形のようなものを見た気がした。三田さん自身を思わせる主人公が、鴻海なる俳界の重鎮と知り合ったことから、自身の母の句を鴻海が剽窃したのではないかという疑惑が生まれる。やがて彼の石巻への旅に主人公も同道することになり少しずつ彼の過去が明らかになっていく。震災後の雰囲気も相俟って何とも言えない味わいを残す一方、句会のシーンも別の味わいを持った面白さがある。2014/04/19
ゆまたろ
5
お気に入りさんが読んでいて、気になったので手に取りました。俳句の世界は全くわかりませんが、五七五という限られた文字の中で展開される奥深さに感銘を受けました。この作品は俳句の世界もさることながら、良質なミステリーでもあり、読み応えがありました。おもしろかったです。2015/01/11
さくらさく
2
上々。2014/03/20
わかさ
0
三田さんの著作を読むのは初めて。 やや分厚い上にテーマが俳句なので読み進められるか不安だったけど、とても読みやすかった。 三田さんが自作したという作中の俳句は趣深いもの、面白いものが多くて、俳句の世界に興味が湧いた。 ミステリーとしても良作。2015/08/11
けんちゃん
0
俳句に興味がある人は読むとおもしろいかな。2014/08/26