眠りの庭

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  • サイズ B6判/ページ数 228p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041106129
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

白い肌に、長い髪、そして細い身体。彼女に関わる男たちは、みないつのまにか魅了されていく。そしてやがて明らかになる彼女に隠された真実。2つの物語がひとつにつながったとき、衝撃の真実が明らかになる。

内容説明

「アカイツタ」美大を卒業したものの、画家になることもなくくすぶっていた萩原は、美術評論家の真壁教授の紹介で、女子校の臨時教員として勤めることになる。美術準備室で見つけた、暗い目でこちらを見つめる少女の絵。自画像だと思ったそれは、謎の死を遂げた鈴木という女生徒が、真壁教授の娘・小波を描いたものだった。やがて萩原は小波に惹かれていくが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。「イヌガン」大手家電メーカーに勤める耀は、年上の彼女、澪と一緒に暮らして3年になる。掴みどころのない澪だったが、その穏やかな日々に満足していた。しかし、澪がときおり漏らす本音と怪しい行動に、耀は少しずつ不安を抱いていく。ある日、澪を尾行した耀は、思いがけない場面を目撃することになる…。過去を背負った哀しき女と、彼女に囚われていく男たち。2つの物語がつながったとき、隠された真実が明らかになる。あふれ出す情感を描き切った、心ゆさぶる墜落と再生の物語。

著者等紹介

千早茜[チハヤアカネ]
1979年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。小学生時代の大半をザンビアで過ごす。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作で第37回泉鏡花文学賞受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

217
北海道出身の作家さんで、直木賞候補にもなった千早さん初読み作品でした。まだ一作品しか読了していないので、なんとも言えませんが、受けた印象は「桜木紫乃」さんと「桜庭一樹」さんを足して2で割ったような感じでした。総合的には悪くなく、桜木さんほど暗くはないし、桜庭さんほど暴力的でもないあたりが、ちょうどよいブレンドになって読みやすさを生みだしているような気がします。官能描写もしつこくなく、サラリとしているので、ジメジメとした気分までには至らないです。他作品も気になる作家さんで続けて読んでみようと思います。2014/10/10

ベイマックス

96
2つの作品が掲載。同じ登場人物と特徴的な住居が登場する。◎恋愛小説と云うのかな。語り口は静寂に包まれているからすらすらと読んでしまうが、掘り下げればドロドロな人間の心の闇を浮かび上がらせるのかも。◎恋人になる人とは関係性が濃くなる。それは、現在進行形だけでいいのか?相手の過去は、そして、生い立ちに加え家族や交友関係は、どこまで知らし、知る必要があるのか。そして、信じるのか、疑うのか。2021/10/14

seri

73
愛の恐怖。読友さんのこの言葉に惹かれて。まさに、でした。背筋を這う恐怖に圧倒されて上手く言葉が見つからない。知らなかった。愛情って言葉がこんなにも怖いものだなんて。愛することは罪なのか。サロメの超越した自我、妄執に囚われ続ける式子内親王、そして空っぽのイヌガンの女。真実なんてわからない。そこにあるのは事実だけ、彼女だけ。想いに染まる紅い蔦は妄執の鎖。絡め取られて開くは夾竹桃の不吉な赤。呼んで呼ばれて目覚めたのは、自身も相手も喰らいつくす獣。愛という名の、執念という名の、さびしい獣。2014/02/20

✿yoko✿

72
色彩の描写、人物描写がとても上手く、まるで一編の映画を見たような読後感でした。親子関係にトラウマのある男女が、お互いを奪い合いような愛に溺れていき、逃れることの出来ない結末へ疾走していく…。蔦のからまる館、暗い庭、赤い…。そして後日談の二話目では、逆に光に満ち溢れているよう なのですが、『好き』の定義について熱く語るところでは、『好き』って感情は、本当に千差万別で、お互いの想いが重なりあうことの難しさを考えさせられました。 この作者の世界観が大好きなので、ゆっくり、じっくり読んでいきたいです。2015/03/09

なゆ

67
これはまた、ゾクゾクとした追い打ちをかけられる、どろりと濃厚な2篇。しかも、冒頭の誰かのつぶやき、最後に読み返すともう、私まで赤い蔦に搦めとられてしまったような気分。「アカイツタ」と「イヌガン」は、まるで違った話のように進みながら繋がってしまうのは、さすがの千早さん。ミッション系女学院を中心に「高校教師」のような世界を繰り広げる「アカイツタ」は、なかなか入り込めなかったけど、そこからの「イヌガン」は時々ドキッとさせられる澪に一気読み。この話はまだ続きがありそう。花は何度もくりかえす。まるで彼女のように。2014/03/19

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