出版社内容情報
「東京バンドワゴン」の小路幸也の、全く新しい青春家族小説!!
「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言って、父さんは死んでしまった。残された僕たち、山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)は、それぞれ母親が違う兄妹弟。そして僕たちは、楽園探しの旅を始めた。
内容説明
「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言いかけて、父さんは逝ってしまった。山、紫、水、明と名づけられた僕ら兄妹と、一通の手紙を残して。僕らの母親は、4人とも違う。手紙には、それぞれの母親のことが書いてあった。「会いに行く必要があると考えるなら、会ってこい」それが、僕ら兄妹の、忘れられない夏の始まり。
著者等紹介
小路幸也[ショウジユキヤ]
作家。北海道出身。広告制作会社を経て、メフィスト賞を受賞した『空を見上げる古い歌を口ずさむpulp‐town fiction』(講談社)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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七色一味
146
読破。三冊連続小路幸也さんの第二弾(と、今、勝手に命名)。えっと、ニヤって笑って倒れちゃうの? お父さん──って、メインの話までが長いんですけど(笑) こういう作品は、小路幸也さんお上手です。ちょっと、語り手が男性と女性で、それほど地の文に差がないのが気になりますが…。ナモナキラクエンってなんなのか、お父さんが亡くなる直前、ニヤリと笑って言った楽園の意味。隠された真実は、ちょっと残酷。それでも、続いていくんですね。2013/04/03
takaC
137
題名が上手い。2017/10/23
紫綺
125
そうか、そういうことだったのか。うすうす気付いてはいたはずなのに、山、紫、水、明、4人のきょうだいたちの優しいやり取りに油断していた。ナモナキラクエン、いい響きだ。私は、ラクエンを創れているのだろうか?2013/04/05
ひめありす@灯れ松明の火
114
夜明けの光が山を染めて、紫だちたる雲が細くたなびく。冬の間に凍っていた水がほどけて、明るく輝き出す。春のはじまり。何でもない、幸せの風景。春夏秋冬。風光明媚。喜怒哀楽。半分ずつ血の繋がった四人の兄姉弟妹が、父親と一緒に暮らすそこはナモナキラクエンだった。父親が死に、四人の兄姉弟妹はそれぞれのルーツを辿る旅に出る。それぞれ持ち寄る新しい四つの繋がり。クラシックカー、新しい家長のお兄ちゃんと産んでくれた人の元へ。一つ前の季節から、新しい季節へ。春には春の夏には夏の、それぞれの還る場所を見つけた、一夏の出来事。2012/12/28
有
107
心の底から欲しかったものに触れた時の、幸福なにおい。足りないと思うとき、荒んだ気持ちを持て余しているとき、小路さんの物語に救われる。小路さんの優しさに触れると、自分も優しいものの一部になれるような気がする。後悔や恨みを、前へ進む原動力へ。誰かの幸せのために、生きる幸せ。強い大人になることを、諦めちゃいけない。守ってもらう立場から、守る立場へ。何も知らないままの子供から、優しい、大きな大人へ。楽園の話をしないか。自己満足でもなんでも、その楽園で、四人が、四人と繋がる人々が、幸せに暮らしている。それが全てだ。2014/03/12




