出版社内容情報
結婚詐欺師を通して描く男女の業と性(さが)
結婚願望を捨てきれない女、現状に満足しない女に巧みに入り込む結婚詐欺師・古海。だが、彼の心にも埋められない闇があった……。父・井上光晴の同名小説にオマージュを捧げる長編小説。
内容説明
結婚願望を捨てきれない女、結婚生活から脱したい女…。満たされない女たちの欲望を金に換える古海とるり子、そして古海を家で待つ妻。果たして彼らに待ち受けるものとは?サスペンス色に溢れる父・井上光晴氏の同名小説に材を採り、まったく新しい物語を構築した野心的な長編小説。
著者等紹介
井上荒野[イノウエアレノ]
1961年東京生まれ。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞、08『切羽へ』で第139回直木賞、11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くりきんとん99
47
結婚詐欺師の古海とその彼と組んでいる千石るり子、そしてその二人に騙される女たち。それぞれの思いが書かれているこの作品。騙された後の女たちの思いも怖かったけど、古海の妻も何だか怖かった。いろいろと想像させられるラストも怖かった。え?そしてどうなるの!?2012/04/24
yuyu
43
長編初読みの作家さん。タイトルから勝手にイメージしていた感じと随分違った。結婚詐欺師の古海を取り巻く女達の連作短編集。何とも言えないザラつき感。ちょっと小骨が喉に引っかかったような違和感。こんなに簡単に騙されるものなのか、そんな女を狙い定めているせいなのか。騙される女達はみんな寂しい。しかし、一番寂しいのは古海かもしれない。2016/05/03
なゆ
36
「結婚」をエサに次々と女性を騙す詐欺師、古海。実に巧妙にココロの隙にもぐり込み、お金とココロを巻き上げてはドロン。女たちは、騙されたことに気づきたくなくて、古海を待ち続けたり探したり。そんな中、共犯者るり子がだんだん追いつめられていく辺りから、なんかザワザワしてくる。あのニュースはもしや?とかいろいろ深読みしてみたり。鳩子の運命は?!そんな空気の中、古海の妻が不気味に演じる幸せそうな結婚生活。ラストのその後のストーリーが勝手にいくつも頭の中をぐるぐると。ああ、この余韻がたまりません。2012/05/11
ででんでん
35
…。感想を書くのがむずかしい。スルスルと読めていくのだが。幸せな人は出てこないのか。哀しさをまとったような登場人物のだれひとり好きにはなれずに最後のページまで来てしまった。2017/06/19
わか
35
「結婚」というタイトルからして甘くてハッピーなお話かと思いきや、そこは井上荒野さん。全く違ってました。「結婚詐欺師」のお話でした。読んでいて心がどんよりと暗く、ざわざわとしました。偽名をいくつも使って結婚詐欺をはたらく男・古海。その手伝いをするるり子。るり子も元は被害者なんですよね。私も小金を持っていて淋しかったら騙されてたのかも・・なんて思ってしまいました。古海のどうゆう部分がそんなに魅力的だったのか、もう少しくわしく書いて欲しかった。くらーいお話でした。2014/11/12