出版社内容情報
結婚なさっていることは、最初から知っていました――。
妻子ある男性との性愛の深みに溺れていくキャリアOLの日々を描く表題作の他、ガンを告知されたことをすっかり忘れてしまった父親や、施設の入居者の愛情を思い起こす介護士など、様々な愛の形を描く傑作短編集!
内容説明
あなたは最低のひと。でも、私を強くしてくれた。男の求愛に堕ちていくOLが最後にたどりついたのは―。妻子ある男との性愛に溺れるOLが語る衝撃の表題作。介護者が出会った桜の下に立つ白い男とは…?教会に現れた野生児は神に選ばれし者なのか。残された日々を生きるがんの父、寄りそう娘の決断は?魂のささやきに耳をすませた四編の珠玉の愛の物語。
著者等紹介
田口ランディ[タグチランディ]
1959年生まれ。作家。2000年長編小説『コンセント』でデビュー。主に人間の心の問題をテーマに幅広く執筆活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
150
【birthday book】すっかり、どハマりしている田口ランディさん作品です。何がどういいのかと問われると、正直何とも答えに窮するのですが、自分的には飽きない多彩な作風が一番の理由かなと。あらゆる作風の作品を書き上げ、本当に同一の作家さん?と思ってしまいますが、やはり基本軸はパンチのきいたランディさんカラーがしっかりと出ております。今作もテーマがバラバラな4作品からなる短編集ですが、感動をじんわりと与えてくれる内容のものもあり、またしても田口ランディさんのいい意味での裏切りにあった渋い作品でした。2015/10/18
クリママ
51
表題作と3編の短編。田口ランディは初めてだが、性愛を描いた「私の愛した男について」は、ランディらしいものなのだろうか。どこにでもあるモチーフながら、主人公のよくわからなさがいいような、悪いような。読後にも不安とその反対の力強さを感じる。全く趣の違った短編3編はとてもよかった。「デフ・ヴォイス」の原点とも思えた「命につけし名は」を含め、短編とは思えぬ深い感慨に満ちている。他の作品も読みたいと思う。2016/03/06
アコ
22
4篇収録。表題作は中篇で残りは短篇。表題作だけが少し違う雰囲気。他3篇は“助けを必要とするもの”と“助けようとするもの”がテーマ。ただ手を差し伸べればいいってもんじゃないのは人間同士だからこそなんだろう。短い中に響くものがある。著者の本を読むのは約20年ぶり。スピリチュアル系になって離れたんだっけな、違ったかな。昔読んだものも再読してみようかな。ただし元気なときに。2018/12/16
かんちゃん
15
読メ友さんの感想を読み10年以上ぶりに田口ランディさんを手に取りました。収録されている4編どれもがそれぞれに面白かったです。特に表題作の『私の愛した男について』はランディさんらしい生々しい性描写と暗く深い心理描写でした。残りの3作品も難しいテーマをランディさんらしい深い愛情と慈しみをもって簡潔に書かれていて面白かったです。『コンセント』や『モザイク』といった初期の作品を再読したくなりました。2015/11/05
さくらこ
15
久しぶりの田口ランディ。「命につけし名は」良かったな。大学の授業でDeaf Society教わった。どれも深海にすーっと沈んでいくような気分になる小説たち。2013/03/13
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