出版社内容情報
桜祭りの帰りに見た宙に浮く柔らかな光、川で投網を打つ人を襲った足元の砂の奇妙な動き、山道で「おおい、おおい」と呼びかけてくる声、憑物を籠めているという壺の秘密……不思議でどこか懐かしい短編集。
内容説明
初夏、家族で帰省中の母親に襲いかかる異様な寒気と、幼い娘の一言が怖い「震々」。渓流釣りの最中に見た、風景をかすませ移動する蚊柱のようなものの正体に震撼する「ヤマンボウサマ」。日本各地に伝わる“虫送り”には、山の神様が紛れている―少女の瞳に映る風景を描く「稲につく虫、女につく虫」など、書き下ろしを含む44篇。昆虫を追い求め里山を渉猟する“生き物屋”たちが、四季折々の祭りや風習を織り交ぜて紡ぐ、不思議な話。
著者等紹介
coco[COCO]
愛知県生まれ。漫画、文筆、写真家
日高トモキチ[ヒダカトモキチ]
宮崎県生まれ。漫画家、イラストレーター、よろず物書き。学習参考書の編集者を経てデビュー
玉川数[タマガワカズエ]
東京都生まれ。著書に『里山奇談 よみがえる土地の記憶』『里山奇談 めぐりゆく物語』(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょん
22
第3弾から読んでしまいましたが、たぶん順番関係ないでしょ✨(笑)日本ならではの感覚溢れる素敵なお話たち。怖さと不思議と神秘がすぐ隣にある生活、「山のおばあちゃんの家」というイメージって今はもう難しいのかな。幸いにも私は和歌山に母方の実家があり、里山どころか山奥奇談に溢れた経験ができましたが、今思うとすごく貴重な体験だったなぁ。2021/08/13
流石全次郎
11
シリーズ角川文庫3冊目。前作よりも引き込まれました。奇談には起承転結、あるいは序破急はなくても十分伝わる話があると思います、そんな話もちらほらあったのが良かったと感じました。ただ、各章の著者が誰なのかはわからず仕舞いなのは前作同様、少し残念。2021/09/17
海星梨
9
3作目の里山奇談もKUに登場ですよー! 他の怪談系とは違って、独特の描写的な文体で1作目はあまり楽しめなかったけど、今作は私も慣れてきて作家も馴染んできたのか安定してきたのが大きいか。最近、地衣類にハマったけど、何屋になるんだろう。苔は苔屋だろうけど、地衣類屋はなんかへん。キノコ屋はまだ語感いいけど、菌屋はなんか、なんかさ……。2022/07/25
タカボー
8
シリーズ最終巻?このシリーズ好きだから読み終わりたくなかった。ひとつの命は儚いけど、何代も受け継がれていく目には映らないもの達。日本に生まれて良かったと思える繊細で美しい物語の数々。優しすぎるホラー。神様のような視点で大らかな気持ちで全ての生き物たちの営みを見守ってるみたいな。日常の全ては小さなもので、死は恐れるものでなくただの順番待ちで、部屋を飛んでる蚊さえも慈しみたくなるような。まあ叩くけど。2023/08/22
そうさん
8
不思議な話が多いシリーズだが、今回は怖い感じのものも結構あった。「震々」「みているもの」「風の抜ける荒地」「夜警」あたりが好みだった。2021/09/07