内容説明
熱血保険営業マン、北野譲治は、ITベンチャーの創業者、財津から猛烈なスカウトを受ける。新しいビジネスへの挑戦にロマンと意義を感じた北野は、独立起業した保険代理店の社長の座を捨て、財津の下で働くことを決意する。しかし、会社の実態は想像とかけ離れたものだった。創業者の横暴、経営危機、そして巨大企業との戦いと、どんな困難にも不屈の精神で挑んだ実在の経営者の姿を描いた、懸命に働く全ての人に贈る応援歌!
著者等紹介
高杉良[タカスギリョウ]
作家。1939年東京生まれ。専門紙記者・編集長を経て、75年『虚構の城』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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となりのトウシロウ
33
イーパーセルの北野譲治さんの実名小説。起業目的で損害保険会社の契約社員として営業で実績を上げる。保険代理店会社を起業し順風満帆な中でITベンチャー企業創業者からスカウトを受けイーパーセル社に。グーグル相手に特許侵害訴訟を起こした日本人として紹介された記事は読んだ覚えがあったがその人だったとは。「私心を全て捨て去り、人々と正直、誠実に向き合い筋を通す。」功を成す人は人間的な魅力がある。ベンチャーキャピタルが出資先を見るのは技術ではなく人を見るとか。政官財の知己の多さは人としての魅力を語っている。2022/03/06
てつろう
7
ドキュメンタリーに近い実際の企業の創業小説。ITベンチャー奮闘記として期待したが、平坦で高杉さんが手掛けた経済小説とは思えなかった。癌や闘病などで取材が思ったよりできなかったのだろうか?年齢と病で書く気力がなくなったのだろう!2021/08/11
海燕
4
実在の人物をモデルに、主人公が損保会社の契約社員から起業を経て、請われて入ったイーパーセル社で経営危機を立て直していくまでの三十数年を描いている。本作は単行本時の内容に、さらに新型コロナの拡大などに関連して加筆修正しているようで、高杉作品はこれまでにも読んでいるが、令和ほど新しい時代が舞台となっているのは初めてで新鮮だった。作中、タイトルともなっている宮沢賢治の詩が2、3度挿入される。がむしゃらに利益を追い求めるのでなく、私利私欲から離れて仕事に「正直・誠実」であることの意味を考えてみたい。2022/04/12
shonborism
4
実名の企業小説。ドキュメンタリーに近い気もする。今年のトピックが盛り込まれてるのは文庫化に際して加筆したのかな。高齢の高杉氏を執筆に動かすだけあって魅力的な人物。寡聞にして知らなかったが、こういう企業とこういう社長がいるんだなあ。2020/10/31
とと
3
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」 お金を稼ぐのではなく 信頼をかせぐ 銀行が売りたいものを代わりに売る。 住宅ローンを組んでいる人に借り換え提案 入るを量りて出ずるをなす 人脈を活用する 心と体が一体として動くようにならないと何も得られない。 辛い時こそ正面からそのことと向かい合えるかが大切 年を重ねたぢけでは老いない。理想を失う時に老いはくる2021/12/26