出版社内容情報
若い女性が殺された。遺体は奇抜な化粧を施されていた。事件は連続殺人事件に発展する。大阪府警の刑事・谷井は女性の恋心を弄ぶ詐欺師の男にたどり着く。刑事の執念と戦慄の真相に震える傑作サスペンス。
内容説明
大阪府豊中市で宅配業者を装った男に若い女性が殺された。遺体はセーラー服に着替えさせられ、奇抜な化粧を施されていた。事件は女性遺体が次々と発見される連続殺人事件へと発展する。被害者の足取りを追う大阪府警捜査一課の刑事・谷井は、女性の恋心を弄び法外な値段で宝石を売りつける詐欺師の男にたどり着くが―。黒川作品史上、最も猟奇的な殺人犯の姿とは?追い詰める刑事の執念と戦慄の真相に震える傑作サスペンス。
著者等紹介
黒川博行[クロカワヒロユキ]
1949年愛媛県生まれ。京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。大阪府立高校の美術教師を経て、83年『二度のお別れ』でサントリーミステリー大賞佳作。86年『キャッツアイころがった』でサントリーミステリー大賞を受賞。96年「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。2014年『破門』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
105
内なる覚醒の狂気。黒川氏作品史上、最も猟奇的な殺人犯を描く、とあらすじや冒頭に記述あれば、読まずにいられるかと積んであった本作。バブル期を時代背景に描かれた本作であったが、いつもの黒川氏独特の失礼ながらお下品と紙一重とも取られかねない描き込みは少しなりを潜め、狂気の描写の方に表現の分量を割いていると取れるが、いざ繙けば一気読み必須であったのである。黒川氏の違う一面も鑑みれる秀作と捉えられる本作を堪能させて頂きました。2021/03/07
修一朗
101
引き続き大阪府警シリーズを。今度は猟奇的殺人モノ。誉田哲也さんの警察小説にあるやつだ。こういう場合は犯人キャラを強調するものだがそこは控えめであくまでも地道な捜査を進める谷井デカ長と矢代のコンビだ。コンビで捜査というよか村木班全体で捜査を進める感じ。それはそれば地道に淡々と捜査進めるけどもそこはもう少し冴えた筋読みとかあれば,リンカーンライムシリーズのようなノンストップサスペンス調になったと思う。被害者側の視点もあって次々展開が変わって切迫感あります。最後までハラハラで面白かった。2023/08/25
やも
88
大阪で異様な女の遺体が続けて発見される。共通してるのは、体毛が頭髪をのぞいて全て剃られていたこと、下着を含め衣類の一切を着せ替えられていたこと、派手なメイクをさせられていたこと、屍姦されていたこと…。猟奇的な殺人事件、それとは別の詐欺事件、警察目線、狙われた女目線と視点が交互に入れ替わり話が進む。犯人の目星はつけたが見当外れ。予想外の不意打ちにやられたよ。そしてもう1つやられたのは、あとがき。黒川さんと鷺沢萠さんは仲良しだったんですね。黒川さんのことをますます好きになってしまいました。2022/08/13
タイ子
83
大阪府警シリーズ。と、言っても順に読んでるわけでもないのでどの刑事が活躍するのか読んで見ないとわからない。本作の犯人の気持ち悪さ、腹が立つほどに上手く立ち回り、エグイほどに警察を翻弄する。宅配便を装い女性を手に掛ける猟奇的連続殺人犯。ホントに気持ち悪いヤツ。なんで本とかドラマとかに登場する女性って犯人かもしれないと思いながら自ら近づき、怖い目に遭うんでしょうね。まんまと術中にハマる女性がじれったいと思いながらハラハラドキドキ。警察との攻防も面白い!一気読みの流れは黒川さん流。今までにないラストが好き♪2020/05/14
鍵ちゃん
54
大阪府豊中市で宅配業者をよそった男に若い女性か殺された。遺体はセーラー服に着替えさせられ、奇抜な化粧を施されていた。事件は女性遺体が次々と発見される連続殺人事件へと発展する。被害者の足取りを追う大阪府警捜査一課の刑事・谷井は、女性の恋心を弄び法外な値段で宝石を売りつける詐欺師の男にたどり着く。このシリーズの中では事件が巧妙で恐ろしい。そしてどんでん返しも凄い。大阪府警も苦労しただろう。大阪らしさなんか吹っ飛んだ事件でした。その分面白さも半端ない。2024/12/25