内容説明
モモコ、22歳。就活に失敗して、バイトもクビ。やりたいこともわからず部屋にこもってちくちくちくちく縫い物に没頭する日々を送っていた。だが、家を出なくてはならない日がやってきて…。たゆたうように歩くモモコが背負うリュックの中にはうさぎが1匹、じっと彼女を見守っている。外国人労働者、格差社会、限界集落、超長寿社会、地方の共同体…よるべない私たちの現実と憂鬱、そして希望を描く。
著者等紹介
大島真寿美[オオシママスミ]
1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞。2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位、19年『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で第161回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エドワード
26
風変わりな家庭に育ったモモコ、22歳。大学を出ても就職できず、バイトも全てクビになり、家を出てぬいぐるみのうさぎと共に旅に出る。友人宅、兄の独身寮、幼い頃家族四人で暮らした海辺の町、父の故郷の山村。どこでもせっせと働くモモコ。医療施設の集まる町の外国人たち、高齢者ばかりの限界集落。優しく素直なモモコに安住の地がない今の日本の光景だ。最後にたどりつく、うさぎの発明者の町・桃源郷の不思議なコミュニティ。貧しいけれど老若男女が幸せに暮らす。大島さんの理想郷の一つだろう。<人と暮らす>ことを考えさせられる物語だ。2022/05/16
YH
4
一言でいえば、モモコの自分探しなんだけど、旅の途中で出会う皆がいい味。みね婆もりるさんも素敵。りるさんの踊りはピナ・バウシュを想像してしまう。ただ、ウサギっていったい何だったんだろう。若干の蛇足感。2022/10/08
Mimi Ichinohe
4
不思議なうさぎの人形をもって放浪するモモコ(23歳)の物語。モモコがお父さんの生まれ故郷の田舎へたどり着いたとき、お世話してしてくれたお婆さん、みね婆が素敵です。標識のような人。そこにいて、そこがどこかを知っていて、そしていくつかの行先を示してくれるような、そんなみね婆。2021/07/31
annzu
3
掃除がこんなにも人の役に立つなんて。知識があって、それを活用できるって強い。それから裁縫。いつの間にかしていることって、やっぱり好きなことなんだろう。私には何も見つからないけど、それでも今も流れている途中で、きっとどこかには流れ着く。そう思って過ごしていくしかない。2023/11/13
ぴかぴか
0
父が早逝したあと、貧乏な暮らしや、お金持ちの暮らしと起伏に飛んだ成長期を過ごし大学卒業したものの就活に失敗し。。さてその後のモモコの人生はどうなっていくか・・子供の頃読んだ冒険小説みたいとあちこち何度も読み返しつつ読了(半月もかかった)、あちこち放浪は、自分の居場所を探す旅・・旅は終わることはない。なんとかなるよねと元気になれるし、ももこはこの後どうなっていくんだろうと心配と興味がわいている。2025/01/06
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