出版社内容情報
小池 真理子[コイケ マリコ]
著・文・その他
内容説明
母親の遺品整理のため田舎を訪れた男が、農道ですれ違った般若の面をつけた女―記憶と時間が不穏に交錯する「面」。離婚で疲弊した女が、郊外の町で見つけた古風な歯科医院、そこに隠された禁忌が鬼気迫る「日影歯科医院」。山奥に佇む山荘の地下室に蠢く“何か”と、興味本位の闖入者を襲う不条理な怪異に震撼する「山荘奇譚」など、生と死のあわいの世界を描く6篇。読む者を甘美な恐怖と戦慄へと誘う、幻想怪奇小説集。
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、96年『恋』で直木賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
135
小池さんの作品は面白いのですが、いつも男女の関係(浮気とか不倫)が引き金となったりして若干苦手な面もあるのですが、この作品集はそれでも楽しめました。「面」や「日影歯科医院」はかなり怖い印象が残りました。私が一番良かったと思ったのは「森の奥の家」で過去の思い出が中心となっているのですが最後に…、ということでどこかで読んだイメージが残りました。2023/11/30
absinthe
114
怪異の世界とこの世の、何とも言えない地続き感の短編集。実在する怪異の様でもあるが、単に心が生み出した幻の様でもある。そのはっきりしない感じがたまらなく好き。人物の心の中に負い目のようなものがあって、その負い目が表彰されたような怪異が現れる。心象がそのまま怪異になったようなお話が多い。2024/10/19
じいじ
88
小池真理子の小説は恋愛モノを柱に読んできましたが、このところの暑い陽気ではホラーが面白くて、ちょいハマりしていました。今作の6短篇はどれも軽妙な筆さばきで、臆病者の私でも適度な怖さで愉しめました。さて、初めての歯医者に緊張感と恐怖感に苛まされるのは、どうも私だけではなさそうです。【日影歯科医院】も、寂れたかなり怪しい雰囲気の医院で、初めてでは行きたくありません。秋の夜中で、そろそろ小池さんの長編モノが読みたくなってきました。『モンローが死んだ日』『瑠璃の海』をスタンバイしてます。2023/10/21
sin
84
型どおりであるようでいて思いがけない破調を纏ったゴーストストーリーだ。どことなく独り善がりな感じを匂わす主人公たちの独白が物語の世界に読者を憑り依んでいって、突き放すかのように怪異に放り出す感じがする。解説で言及されるように収められた六作品はいずれ劣らぬ充実ぶりだが、中でも『山荘奇譚』は傑作…淡々とした語りが今様なTVドラマに最適なエンディングを迎える。他にも『ゾフィーの手袋』のラスト間近に描写されたイメージはゾクゾクなのに其のシーンを受けたエンディングは輪をかけてもろ冷えであった。2020/07/07
mocha
81
短編ながらどの作品もとても奥行がある。主人公の人生ドラマの中で、ふっと異界と交錯する瞬間。その情景や情念が静かに美しく描かれる。特に『緋色の窓』の、夢二の絵のようなムードが好き。2021/07/12
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