出版社内容情報
大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。彼女の師
匠はある夜、一切の連絡を絶って失踪した。師匠不在の中、一門を守り、
師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。一門のゴシップを楽しむ
野次馬、女性落語家への偏見――。苦境を打開するため、甘夏は自身が
住んでいる銭湯で、深夜に「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を
行うことを思いつく。寄席にはそれぞれに事情を抱える人々が集まってきて――。
内容説明
大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。彼女の師匠はある日、一切の連絡を絶って失踪した。師匠不在の中、一門を守り、師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。一門のゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見―。苦境を打開するため、甘夏は自身が住んでいる銭湯で、深夜「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を行うことを思いつく。寄席にはそれぞれに事情を抱える人々が集まってきて―。
著者等紹介
増山実[マスヤマミノル]
1958年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。2012年、「いつの日か来た道」で第19回松本清張賞最終候補に。同作を改題した『勇者たちへの伝言 いつの日か来た道』で13年デビュー。同作は第4回「大阪ほんま本大賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
昼寝ねこ
144
大阪落語の世界に飛び込んだ甘夏は師匠に失踪されてしまい兄弟子と一緒に師匠を探しつつ落語に奮闘する。一生懸命な甘夏を応援してくれる人もいるが女に落語は出来ないと誹謗する人もいる。途中までは話がもたつくが落語会を開いたあたりからの流れは大阪落語モリモリで楽しい。〝師匠、死んじゃったかもしれない寄席〟には笑った。残念ながら終盤になってまた話がグダグダになる。特に若夏の身の上話には興醒め。師匠の行動の理由もきちんと説明されないし取って付けたような結末も物足りなく思った。大阪落語に興味を持てただけに残念だった。 2024/07/03
タイ子
115
登場する落語ネタの多さに上方落語ファンとして私はまだまだだと思ってしまう。そりゃ、全部のサゲまで言えたらこの私今頃は落語家の端くれになってるかもです。物語の冒頭から師匠が失踪した!と始まるわけで、失踪の理由とかを笑いにもっていくのかなと思いきや、そこは「波の上のキネマ」の増山さんです。残された3人の弟子のうち一人が女性落語家の甘夏、彼女を中心に物語は展開する。駆け出しの甘夏が女性落語家であることの難しさ、兄弟子たちとの交流を通じて師匠の帰りを待つという切なさや愛おしさがいっぱい詰まった作品。いいな、落語。2020/02/09
buchipanda3
108
とにかく軽妙な大阪弁の掛け合いが心地いい人情味溢れる上方落語物語。舞台は現代の大阪、今でもまだ珍しい女性の噺家として歩み出した甘夏の泣き笑い人生修行ぶりを楽しめた。ネタ噺も満載なのがいい。話は冒頭から大変な事態。そこは落語家たち、ひねりの効いた事を始めるが…。女の落語家では笑えない、今でもそんなことをと思ったが、ネタの変遷から来る背景を知り女性の噺家の大変さを理解した。師匠たちのいい落語とはの一家言はどれも納得。いい落語は聴いた人の心のすき間を埋めてくれる。落語ってやっぱいい、読み終えて改めてそう思った。2019/12/21
みかん🍊
106
ノスタルジックな装丁だが現代小説だ、大学在学中にたまたま観た落語に魅せられ中退し弟子入りして3年、ある日突然師匠が失踪する、兄弟子と3人で師匠を待ちながら落語の修行、人情ある大阪の街や落語の話を織り交ぜられた作品、男社会で女が落語する事の難しさや師匠の弟子を思い掛ける温かくも厳しい言葉、落語はただ喋るだけでなく、ないものをまるでそこに存在するかのように演じる芸である。昔教科書に載っていた水俣の話がまだ現代でも差別対象になっていて辛い思いをしている人が居るとは知らなかった、無知は罪やでの言葉が沁みました。2020/02/27
fwhd8325
105
上方に桂二葉さんという若手の女流噺家さんがいます。増山さんがこの小説を書くにあたって、二葉さんも協力されたと聞いています。そんな先入観があり、二葉さんをイメージして読みましたが、これが見事なくらいぴったりです。二葉さんの落語を聴いてから読んでも面白いかもしれません。物語は、主人公の甘夏さんが、噺家として成長していく姿が爽やかに描かれています。「頑張れ!」と心の中で応援しながら堪能しました。読み終えると無性に落語を聴きに行きたくなります。2020/01/11
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