内容説明
「人間は、先が思いやられるような男にならねば駄目だ」三州横須賀村で権勢を誇った青成瓢太郎の息子・瓢吉は、土地の侠客気質を叩き込まれ育った。中学を終えると、政治家になる夢と芸妓になった幼なじみ・おりんへの恋心を抱いて、早稲田大学に入学した瓢吉は、酒、女、大学紛争の中で友情と挫折を知る―。全8篇からなる、壮大な人生流転ドラマの初篇。川端康成から絶賛された、昭和のベストセラーが、いま蘇る。
著者等紹介
尾崎士郎[オザキシロウ]
1898年(明治31年)、愛知県生まれ。1916年、早稲田大学に入学するが、翌年、早稲田騒動で指導者となり、後に除籍処分に。21年、『獄中より』が懸賞小説に入賞し、本格的な作家生活に入る。23年、宇野千代と同棲するが29年に破局。33年から「都新聞」に『人生劇場』を連載。35年にその単行本が刊行されると、川端康成から絶賛され、ベストセラーとなった。『人生劇場』は、全部で8篇となり59年に完結。64年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inahiro020
2
若い情熱を抱いて上京する物語は心揺さぶられる。なんとなく雰囲気が「青春の門」に似てる。みんな熱いやつらばかりだ。2016/01/14
ゾーンディフェンス
1
青春篇はそれほど面白くないと聞いた覚えがあるんだけど、そんなことは全然なかった。続きが読みたくなったわ。その後について映画では見たんだけど、原作でどう描かれているのか知りたくなった。ユーモアを感じる文章。ちょうど真ん中あたりの章替わりのところに「幕間二十分 ― 読者諸君ハコノ休憩時間ヲ利用シテ食堂ニオハイリ下サイ」とあるのなど笑うしかない。こういうゆったりした小説、久しぶりに読んだような気がする。これ、続編というかこの後の各篇がなかなか手に入らないようなのが残念。2020/04/07