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1 ~ 1件/全1件
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椎名みさの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
26
「かつて人類には怒りが喜びが哀しみが必要だった かつて人類にはわたしがわたしであるという思い込みが必要だった 人間は絶えず「自然」を抑えこんできた 都市を築き社会を築きシステムを築いた身体を数値に置き換えた 「わたし」というものはノイズにすぎない ならば対立や逡巡 苦悩を生む厄介な機能を治癒してはならない理由はどこにあるのだろう 魂を擁護する言葉はどこにあるのだろう」読み終えて思うのは、もっと伊藤計劃の小説を読みたいという切実な、けれど叶わない願いだ。2021/07/11
ふりや
12
「さよなら、わたし。さよなら、たましい。もう二度と会うことはないでしょう」世界中が暴動で混乱する中、トァンは遂にミァハと対峙する。間に挟み込まれる回想シーンが悲しく切ない。個人的にこの作品は『一九八四年』と並ぶ「SF史に残る最高のバッドエンド」だと思っているのですが、そう言ってしまうには最後の情景はあまりにも美しい。4巻通して読んでみた感じは、あくまでも原作に忠実に、かつ原作のイメージを補完するような作品で、コミカライズとしては非常にクオリティが高いと思います。そして、また原作を読みたくなりました。2020/05/08
本の蟲
8
コーカサスの山中でミァハと再会するトァン。ハーモニープログラムで人類に真の調和を求めるミァハ。成熟した社会において意識がなくとも生存には全く問題がない。人は買い物に行き、仕事に出かけ、食事をする。迷いも決断も選択もなく、自明の反応として生活していく。外見上には全く変化はない。ただそこに「わたし」がいないだけ。社会的な動物を目指した人類の終着点。その瀬戸際でトァンの「意識」が最後に下した決断とは? ユートピアの行きつく先を描いた傑作SF小説のコミカライズ。これにて完結。最終話は鳥肌が立つほど綺麗2019/11/14
kenitirokikuti
7
ネタバレになるけれども、本作も〈性的に蹂躙され尽くした少女〉というモチーフである。永井豪や菊地秀行・夢枕獏にロリコン性はないので、どこから育っていったモチーフなのか詳しく分からない。本作では、紛争地域で(性的に)蹂躙された辺境民族の難民少女の離人症的な妄想が世界を滅ぼす。ただ、生身のヒトは脆すぎて、地獄を味わわせるのは無理すぎる。イエスさえあっさり死んだからね。蘇生したら神かゾンビだし、肉体のない精神って存在ならば、神学的には〈天使〉と呼ぶし。山内志郎氏は、天使主義はグノーシス主義と書いてたっけ(うろ覚え2021/02/26
ささやか@ケチャップマン
6
難しいコミカライズだったと思うが、私が知る限りで完璧で文句のない素晴らしい出来栄えだった。敬意を表したい。2020/04/18