出版社内容情報
「それは、安全な殺人なんだ」常軌を逸した不可解の連続。その先には――?
内容説明
「厭で厭で厭で堪らなくって、それでみんな逃げ出したんだ。会社から、人生から、日常から、人間から―」職場と家庭の人間関係に苦悩する私の家に現れた、巨大な顔に山羊のような瞳を持つ子供らしきもの。永遠の幸福をくれるというホテルで、安全な殺人を行うことととなったホームレスの男。何故か僕が厭だと思うことだけを繰り返す、異常な彼女―。あなたに擦り寄る戦慄と驚愕。世にも奇妙な、7つの物語。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
小説家・意匠家。1963年北海道生まれ。94年、妖怪小説『姑獲鳥の夏』で小説家デビュー。『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、『後巷説百物語』で第130回直木賞、『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞を受賞、『遠野物語remix』「えほん遠野物語」シリーズなどにより平成28年遠野文家賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スエ
111
「厭だ」。なんと!全てこの言葉から始まる7編。解説までご丁寧に、平山夢明氏の「厭な解説」と来たもんだってのビックラよっこいしょッとな!!……ふぅ。中でも凄いのは「厭な彼女」ハヤシライスの上のグリンピースを彼が厭だと言ったなら。次回から増量、増量!(2倍2倍〜♪)終いには山盛り単品のグリンピースをハヤシライスだと言い張る始末。怖い!怖いっ!!色んな「厭だ」がねっとりみっちり。ラストはもう、イカのおすし……じゃ無かった!イヤイヤ尽くしッ!!もうイヤッッ!!!2021/07/05
えみ
37
厭だ。あれは厭だ。厭なもの。あんなものは幻覚だ。この現実世界に、あれはあってはいけないものだ。厭だ厭だ厭だ。繰り返す、来る日も来る日も。意思疎通も出来ず、非現実で正体不明の恐怖。あれは何だ?怯えて怯えて壊れていく、壊されていく。厭なのに目が離せない。離すことは…もう出来ない。不気味で奇妙な7篇収録の連作短編集。子供に壊された夫婦、老人に襲われる主婦、扉に人生を獲られた男、先祖に覗かれた恋人、彼女に狂わされた彼、家に痛めつけられる本部長、そして小説に記録された深谷。世の中は厭なもので溢れている。あぁ…厭だ。2020/06/19
もぐたん
34
今回も京極作品独特の「間」が冴える。不気味で不快で忌々しい。それなのに、つい読んでしまう狂気じみた凄く厭な小説7編。特に「厭な彼女」の話が堪らなく厭で吐きそうで泣きそうで苛苛して…。倦怠感に呑み込まれた。★★★☆☆2020/05/29
Shun
33
「厭だ」の一言から始まる7つの物語。題名は全て「厭な〇〇」と全てが不快、謎な怪異じみたことも起こるし、この小説には現代社会のあらゆる厭なものが詰まっています。しかし個人的所感ではありますが、所謂イヤミスを読んだ時のような嫌な気持ちは不思議と後に残りませんで、そこは謎です。読んでいて嫌というほど厭な場面があるのだが、多分ここで起こる事態は小説の中だけだと思っているところがあるからだろう、厭な物語を娯楽として読んでいる自分がいました。これは普通のイヤミスとは違った種類のイヤ感を味わわせてくれる厭ミスです。2020/06/24
キナコ
28
タイトル通りで嫌な話が7つ。病名がついてたら、ある意味納得するんだろうけど、そうではない異常な人々。他のヒトには伝わらない嫌な話。狂気と正気の間が伝わってくる。最後の話では、すべての小説が繋がっていることが分かるが、読了後の後味の悪さが癖になる。 現代版の妖怪譚かな。2024/04/19
-
- 和書
- アマゾン河・ネグロ河紀行