出版社内容情報
本を読むのは楽しい。乱読して、片端から忘れていくのも楽しいけれど、テーマ別に集中して読めば、もっと楽しい。頭の中でまとまって、会話のネタにも不自由しません。ホシ式学問術の成果、ご一緒にどうぞ。
内容説明
「星新一という作家に関して、だれも最初は無知なのだ」―。どの小説も、読者にとって“はじめての星新一”になるとの想定で執筆した著者が、多彩な創作の源泉である読書遍歴を披露する。数多く読んできた「未来論」を紐解くと、今日でも通用する論から、現実と乖離したものまで千差万別。アイデアの発想法、言葉の成り立ち、発明の歴史など、ショートショートの第一人者がテーマ別に本を分析する、かつてない読書エッセイ。
目次
つぎの未来は
ジプシーとは
『文章読本』を読んで
凧のフランクリン
ファシスト人物伝
人生について
エスキモーとそのむこう
老荘の思想
発想法、あれこれ
李白という人
フィナーレ
著者等紹介
星新一[ホシシンイチ]
1926年東京生まれ。東京大学農学部卒。57年日本初のSF同人誌「宇宙塵」の創刊に参加。68年『妄想銀行』で第21回日本推理作家協会賞受賞。ショートショートの第一人者として1001以上の作品を発表した。その他、時代小説、少年小説など多方面で独創性を発揮。著書多数。97年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
98
星さんの文庫はすべて読んでいたと思っていたのですが、このような本のエッセイが出ていたとは知りませんでした。11の分野に分けてその関連お本についての話です。書評というよりはエッセイなのでしょう。例えば最初の「次の未来は」という箇所では星さんのショートショートの源泉となった本が並んでいます。しかも1960年代に出版された本とか昭和11年の「百年後の世界」などが羅列されてそこから星さんの様々な考えなどが示されています。そのほか「発想法、あれこれ」や「李白という人」が楽しめました。2022/08/29
kokada_jnet
62
星新一のエッセイについては、学生時代にほぼ全作読んだと思っていたが。1989年に初刊行されたこの本は、私の星新一への熱中時代の、あとに刊行された本なのであった。「野生時代」に連載で、毎回テーマを決め、関連する本を4、5冊読んで紹介しながら、そのテーマを論じる独自のスタイル。中村天風の本を肯定的に紹介しているが、ポジティブ・シンキングの大ブームがくる前のことなので、星新一にとって新鮮な本だったのだろう。ジプシーの回で、わが最愛の作家・小野寺誠氏のフィンランドでの体験を描いた『ジプシー生活史』について言及。2022/05/28
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
10
令和 2年 4月25日 改版 初版。。。大先生の書評である。大先生のレビューであるが、幅が広い。この本を読むと、やはり「見たことのないものは思い出せない」を痛感する。これで角川は全部出たはずだが、「ほ3-6」が抜けている。あと「人民は~」と「きまぐれ博物誌・続」だと思うのだが、「人民は~」は新潮文庫に移っているし、「きまぐれ博物誌・続」は1冊に集約されてるし。どうなんだろう。2020/05/12
funuu
8
いろいろな知識があり上手く再構築して書いていくのが作家の能力だとあった。これはChatGPTと思ってしまった。人間が発明するのは自分の脳内にある物を出力した物だと言う。カメラ等。ついに脳に似た物を作ったようだ。将棋チェス囲碁はもう人間がAI に勝てない。やがて思考面でもAI に勝てなくなるだろう。そこは天国が地獄はわからない。2023/08/14
ムーミン2号
8
ショート・ショートの神様=星新一さんがいろんなテーマにまつわる本を読んで、その内容などから思ったことなどを記しているエッセイ集。テーマの多様性もさることながら、読まれている本もバラエティーに富んでおり、驚かされる。個人的に最も面白かったのは「フィナーレ」という章で、人の死を扱った様々な本について言及がなされている。しかし、何と言っても我々は死んだことがないのだから、臨終に際してや死後の世界、あるいは生まれ変わりなど「体験した」という人のお話や、死後の世界はあるんです、と唱える人のお話に頼るしかない。2022/07/02
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