出版社内容情報
獄中の男に復讐は可能か!?
内容説明
18歳当時、5人の女性を強姦した上で殺し、死刑判決を受けた希代の殺人鬼・穂積壱郎。その彼を取材する事件ライターの加瀬隆史は、死を恐れないどころか超然とした雰囲気に包まれるこの男に次第にからめとられていく。そして突如、妻の隠された過去を知ることになり、獄中の穂積への復讐を決意する。拘置所の塀の向こうにいる“化け物”に復讐する術はあるのか?コンクリートの厚い壁を隔てて繰り広げられる長編サスペンス。
著者等紹介
永瀬隼介[ナガセシュンスケ]
鹿児島県生まれ。大学卒業後、メーカー勤務を経て、週刊誌記者に。1991年にフリーとなり、事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年、長編小説『サイレント・ボーダー』を永瀬隼介のペンネームで発表し、小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
56
初読みの作家さん。全体的には私好みで面白く読めたが、要所要所で残念な点も。まずは死刑囚穂積の存在感、インパクトが今一。このような理由で5人も強姦殺人を犯す人物になる?そしてクライマックスの洗脳から解ける場面も、こんな事がきっかけで?またライターの加瀬、ボクサーの村岡、看守の白井、警察官の成田達がどう繋がって行くのかといったところも、ラストは都合良いように畳み掛けた感も。現在図書館に予約中の作者の代表ノンフィクション「19歳 一家四人惨殺犯の告白」には期待したい。 2021/12/15
のりすけ
19
鬼畜とも思える犯人の心のよりどころ「至高」。犯人とジャーナリストと至高との関連性が気になって前半はもたついたものの、後半は一気読み。「俺様へっちゃらだぜ」とうそぶいてた犯人が、やらかしたことと同じくらい、いやそれ以上に奈落の底に落とされればいいのに‼」と思ってしまった。2020/03/14
Katsuto Yoshinaga
8
事件記者「加瀬」、半グレから足を洗おうとする「亮輔」、亮輔の転向を認めない「政春」、そして18歳で5人の強姦致死により獄につながれる「穂積」を軸に、終盤まで重苦しいまま物語は進む。大下某を批判するかのような事件記者の矜持、ドラゴンを彷彿させる半グレと反社会勢力描写、拘置所と刑務官の日常と心理、著者が造型したサイコキラーの心性といったモチーフが濃密に詰め込まれ、400頁超の長編ながら息継ぎとなる章立てがない!私は結構しんどく感じさせられながらも、とにかく読まされた。(コメに続く)2019/09/07
chikap610
6
緻密だし、ロケハンもしっかりしていましたが、ちょっと厳しかった。感情移入もしきれなかった。隼ちゃん、突き詰めようとし過ぎてしまったようだね。2020/04/06
村山トカレフ
4
本作の前に同一著者の作品である、「19歳 一家四人惨殺犯の告白」を読了。時系列的には正しい読み順なのだが、本作を先に読んだほうがよかったかも。「事実は小説より奇なり」とはよくいったもので、ノンフィクションである「19歳―」の持つ禍々しさ生々しさには到底及ばぬ筆致。変に力が入っていて気負いすぎで尺(頁)のわりに内容薄し。各人のキャラ描写が中途すぎる。獄中外、どの人物にも共鳴も畏怖もできなかった。あと、ちらちらと著者の「思想」が掠めるのもいただけない。南京とアウシュビッツを同列で語るなんざ正気じゃあないぜ!w2020/06/30