出版社内容情報
猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子シリーズ始まりの事件を保視点で描くスピンオフ
内容説明
見習いカウンセラーの中島保は、殺人者の脳に働きかけて犯行を抑制する「スイッチ」の開発を進めていた。殺人への欲望を強制的に痛みへ変換する、そんなSFじみた研究のはずが、実験は成功。野放しになっている犯罪者たちにスイッチを埋め込む保だが、それは想像を超え、犯罪者が自らの肉体を傷つける破滅のスイッチへと化してゆく―。「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズ始まりの事件を保目線で描く約束のスピンオフ長編!
著者等紹介
内藤了[ナイトウリョウ]
長野市出身。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年に『ON』で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mint☆
131
藤堂比奈子シリーズのスピンオフ。1作目「ON」の保目線でのお話。保は繊細で敏感で正義感が強くて泣き虫で。でも早坂院長の誘導もあり、正義の鉄槌を下す能力も持ち合わせていて恐ろしい方向へ進んでしまう。あの猟奇的事件を目撃しなければ、早坂院長と出会わなければもっと違う未来があったはずなのにと考えてしまう。全ての罪を背負い『スイッチを押すもの』になる保。切ないなぁ。2020/12/17
Bugsy Malone
95
10ページにも満たないプロローグ、ただそれだけを読んだだけで、このシリーズの初めから終わりまでの沢山のことが、比奈子や野比先生の沢山の想いが頭の中を駆け巡り、どうしようも無い切なさと哀しみに包まれてしまいました。続く本編でも、最初の事件に引き戻され野比先生の葛藤と比奈子への想いの苦しさに何度胸を詰まらせてしまったことか。それでもエピローグでは一筋の光を見出させてくれる、それがこのシリーズの素晴らしい所、本当にありがとう。2020/10/05
ゆのん
91
【藤堂比奈子シリーズ・スピンオフ】本編シリーズの始まりの事件となった『ON』を中島保視点で描かれている。残忍な犯罪の被害者を出したくないという野比先生の願いと苦悩、苦痛が克明に描かれていてその後の先生の言動の起点となっている。残忍な犯罪を楽しむ犯罪者というのは刑務所で過ごすだけで良いのか…。人間が一番怖いと感じる。2021/02/08
sin
90
中島保の闇は彼が純真無垢な青年だった事…彼の精神は遭遇した狂気の犯行現場に遺された人間の残虐性に耐えられず、その行為の根幹を否認する手段を行使することで人間の善意を呼び戻そうとしたが、それはすなわちその行為を成した人間を否定することに繋がってしまう。果たしてひとたび残虐性に目覚めた人間に理性は望めるのか?それともそんな人間にそもそも理性はあるのか?実際に在る殺人だけでなく昨今の児童虐待など弱い者を苛む事件を知る度に暗い気持ちになってしまう。2021/01/24
のりすけ
86
比奈子シリーズのスピンオフ。ONからOFFへ。のび先生と比奈ちゃんの必然の出会い。これはもう運命。のび先生、基本的にやさしくて善良な人だから義憤と後悔と懺悔とが入り交じってて気の毒。そういうヤバ仕事はジグソウ先生とその信奉者たちにお任せすればいいのよぅ。それはそれ!悪いことしたんやから罪を償え!命で償え!そうスパッと思い込める人じゃないとキツいと思うのん。2022/06/01