内容説明
桃の節句の前日、はなの働く一膳飯屋「喜楽屋」に、降りしきる雨のなかやってきた左吉とおゆう。何か思い詰めたような2人は、「卵ふわふわ」を目を潤ませて食べた後、礼を言いながら帰っていった。だが、2人の忘れ物に気づいたはなが追いかけると、そこには川に飛び込もうとする2人が…。はなが事情を聞くと、店を持つために貯めた金を騙し取られ、死ぬしかないという。(「握り雛」より)はなの料理で奇跡は起きるのか。
著者等紹介
高田在子[タカダアリコ]
神奈川県横浜市出身。夫の社会保険労務士事務所の手伝いに励みながら小説を書き続けてきた。『忍桜の武士 開花請負人』(白泉社招き猫文庫)にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
58
いやぁ、はなさんより私ゃ弥一郎に惚れたよ。良い漢です💛。本文の中身は力士のあかんたれが登場したり、腕のいい大工でありながら親方の悪を見逃せず逃げてきた男とか、江戸の火事で預けられた親戚がカス。まぁ自分ちも貧乏なら仕方ないかもしれないが・・長屋の皆が可哀想がるような育て方なんて・・否、今もヤングケアラーが存在するんやから、江戸時代の人がタイムスリップしたら驚くでしょうね。環境が見た事のない世界なのに、人は江戸人達より人情が無いとか思うかも(◞‸◟)。良太!逃げるな~。こりゃ最後まで読ませてもらおう♪2022/12/21
kagetrasama-aoi(葵・橘)
38
「はなの味ごよみ にぎり雛」シリーズ第三巻。一膳飯屋「喜楽屋」に働くはなと常連客を巻き込んでの安定(?)の人情料理時代小説シリーズ。喜楽屋の料理によって助けられる雷衛門、こんな情けない相撲取りいないよ!と突っ込みたくなったりするけど…。はなが夫良太と再会出来るのか?が人情話とは別の肝になっているんですが、第四話で結構驚きの展開に。予想は半ば合ってたけどこんなにサクサクと、と言う意味で驚きなんですが。弥一郎の「自ら不幸に飛び込んでいくような真似を、おまえたちは見過ごすのか。」の台詞に激しく同意です。2022/03/04
anne@灯れ松明の火
30
シリーズ3。隣市新着チェックで予約。鎌倉から出てきた「はな」も、すっかり喜楽屋になじんでいる。4ヶ月しか経っていないとは思えないぐらい。訪れる客の悩みに、店主おせいと一緒に寄り添い、料理で助けようと努力する。常連客や御薬園同心の弥一郎は頼りになるし、もうこのままでもいいんじゃない?という気がするが(笑)、やっぱり良太なのかなあ。本筋が大きく動いた今巻。次はどうなるのだろう? 2019/04/07
はにこ
27
勝てない食えない相撲取りに、絶体絶命のカップル、訳あり大工を復活させる喜楽屋。ちょっとおせっかいだけど、人のことをとことん考えるはなをお客さんも温かく見守る。もう良太のとこは忘れた方が良い気がするけど一途なはな。こんな結果になることが分かっていながらはなを捨てた良太に好感が持てない。2021/01/27
メルル
25
「はなの味ごよみ」シリーズ第三弾。事件に巻き込まれるべくして巻き込まれたという感じ。良太の秘密にどんどん近付いているようでドキドキさせられた。一体、彼は何者でどっちの顔が本物なのか。はなの決意しかと見た。後に引けない意地がある。これは面白い。早く続きが読みたい。2019/05/22
-
- 和書
- 雪舞 - 句集