出版社内容情報
谷川 俊太郎[タニカワ シュンタロウ]
著・文・その他
内容説明
半世紀にわたり多彩な作品を発表し、今なお新しい挑戦を続ける谷川俊太郎。一九七〇年~一九八三年に発表した『うつむく青年』『空に小鳥がいなくなった日』『ことばあそびうた』など十七冊から、詩人・北川透が精選。日本語の豊かさとリズムに満ちた一冊。
目次
旅
うつむく青年
空に小鳥がいなくなった日
定義
夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった
誰もしらない
そのほかに
コカコーラ・レッスン
ことばあそびうた
ことばあそびうた また〔ほか〕
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年12月、東京生まれ。詩人。17歳の頃から詩を書きはじめる。52年に第1詩集『二十億光年の孤独』を刊行。鋭い感性と清冽な言葉でつづられた作品は、鮮烈な衝撃を与えた。現在も、翻訳、戯曲、絵本、作詞などジャンルを超えて精力的に活躍を続けており、その作品は世代を超えて愛されている。62年「月火水木金土日の歌」で第4回日本レコード大賞作詩賞、75年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、83年『日々の地図』で第34回読売文学賞、2006年『シャガールと木の葉』『谷川俊太郎詩選集1~3』で第47回毎日芸術賞、10年『トロムソコラージュ』で第1回鮎川信夫賞、16年『詩に就いて』で第11回三好達治賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
23
自選であったⅠ巻と異なり、Ⅱ巻は詩人で文芸評論家の北川透が選んだ詩集となっている。散文詩で書かれた「定義」、表題作を含む「空に小鳥がいなくなった日」、こどもたちに愛された「わらべうた」など17の大きな区切りで構成されている。日本語という言語のもつ音の楽しさを追及したり、ひらがなで書くことで字面の面白さを味わったりと言葉で遊ぶようにその可能性に挑みつつ、当たり前すぎて麻痺している「もの」を角度を変えた言葉で捉えなおすことで新鮮な感覚を呼び起こしたりと、谷川の詩作はタブーを恐れることもなく、幅広く自在である。2020/11/15
くろうさぎ
14
谷川さんに紡がれる言葉は、生き生きとしていて面白いです。読んでいて思わず音読したくなる『わらべうた』や『どきん』。ハッとさせられる『空に小鳥がいなくなった日』。『コカコーラ・レッスン』も興味深く読んでいきました。特に好きだったのは『りんごへの固執』、『死と炎』、『きりなしうた』、『黄色い鳥のいる風景』でした。2024/01/21
Book Lover Mr.Garakuta
6
心ほんわかほのぼの作品2019/03/30
mngsht
4
敢えて挙げるなら「大きなクリスマスツリーが立った」「後ろ姿」がグッときたけど、どの詩を読んでも面白かった。「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」というタイトルだけでお酒が飲めそう。普段詩を読むことが少なく理解できるのか不安だったけど、理解していなかったからこそ楽しめたのかもしれない。詩になっている言葉は、小説とは違い、とにかくぐにゃっとしている印象を受けた。そしてこのぐにゃっとした言葉を生きたまま組み立てていく行為は、かなり孤独なんじゃないかとも思った。実際どうなんだろう。2020/08/13
ふくしんづけ
3
人間を人間たらしめているのは言葉なのか。ならば人間の理解する言葉の形が崩壊したら、人間という定義は消えてしまうのか。一語一語に与えられた意味や定義から解放され、ギリギリのところで保つ。頭での理解と、体での反応と、絶妙なバランスで感じる。人間が人間でなくなるか否か、そこに限りない体温を感じる。皆が皆そんな枷を嵌める必要はないと思う。人間は選択できる。けどだからこそ、人間たるその意味に、人間として汚物を生成するその活動に、目を向けていくのだ。線引きで他者を神聖化して、自分への免罪符にするのやめようぜ、人類。2020/01/01