角川ホラー文庫<br> マガイの子

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角川ホラー文庫
マガイの子

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  • サイズ 文庫判/ページ数 321p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041074398
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

僕の姉は「取り替えられた」魔物なのか? 「マガイ」のおぞましい真実とは「ナバリ・イズミ神話大系」とも呼ぶべき独自の、魅力的な宇宙観。その新たな切り口から噴出する、新たな謎〈ミステリー〉と恐怖〈ホラー〉に戦慄せよ。
   ――綾辻行人


僕の姉は「取り替えられた」魔物なのか? 「マガイ」のおぞましい真実とは

 「山に棲む『紛(まがい)』という魔性の獣が里の子供を攫って喰らい、己の子とすりかえる」「『紛』の子は見かけは人間だが、長ずるに従って徐々に獣の本性を表し、里に災いをもたらす」
 現代社会では迷信扱いされる民話だが、鞍臥の人たちは今でも、心のどこかで信じている。なぜなら、あたしがその「マガイの子」だからだ――。

 いまは東京で美大生をしている坂見風哩は、8年前に「お山」で従兄が惨殺された現場に立ち会っていた。従兄の死体は獣に食われたようだったが、風哩には事件時の記憶がない。腫物のように扱われる田舎を出たものの、不穏な出来事が周りで続いている。セクハラ教授とのトラブルで訪れた風変わりなスクールカウンセラーとの話で、夢に見る「マガイ」のことをついしゃべってしまい……。
 一方、まだ鞍臥に住んでいる高校生の弟・怜治は、8年前に姉を助けてくれた円藤老人が、砂原という謎の研究者と最近共にいるのが気になっている。砂原ら「聖泉協会」の人間は「お山」の「磨崖仏」を調べているというのだが……。


文庫版カバーイラスト=松浦だるま (『累 -かさね-』)

解説=朝宮運河

名梁 和泉[ナバリ イズミ]
著・文・その他

内容説明

山に棲む獣『紛』が里の子を己の子とすり替える。現代では迷信扱いの民話を鞍臥の人は今でも心のどこかで信じている。なぜならあたしがその「マガイの子」だから―。東京で美大に通う風哩は、「お山」で従兄が惨殺された事件の記憶がない。セクハラ教授問題で訪れた変なカウンセラーと話すうち、夢に見る「マガイ」の事を喋ってしまう。高校生の弟・怜治がまだ住む地元では「お山」の磨崖仏を調査する謎の研究者が暗躍し始め…。

著者等紹介

名梁和泉[ナバリイズミ]
1970年、東京都生まれ。明治大学卒業。現在、会社員。『二階の王』で第22回日本ホラー小説大賞“優秀賞”を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

66
古くはマッケン『パンの大神』から映画の『ゼイリブ』近くは恩田陸の某作まで、異界からの来訪者やチェンジリングを扱った作品は数多いが本作もそれに連なる一冊。こうも小説のモチーフにされているのは、異界に通じるものは恐ろしくも蠱惑的という事だろうかなあ。それにしてもこの題材、古くは異界から訪れるだけの単純な形が多いけど、本作も恩田陸もこういう形になっているという事はやっぱり近代のアイデンティティ等が影響を与えているのかなあ。ラストはちょっと駆け足のような気がしたが、久々にこの魅力的な題材を楽しむことが出来ました。2019/01/08

らすかる

39
山で神隠しにあった子供は魔性のケモノに喰われ、その子供に瓜二つなケモノを産み落とす。何食わぬ顔で生還した子供は「マガイの子」と呼ばれじきに本性をあらわす。うん、なんて魅力的な設定なんだ! マガイの子の周りで不審な死が相次ぎ、ミステリーのようなダークファンタジーのような世界が広がってゆく。ほんとうに忌むべきなのはケモノか人間か。うん、面白かった~!!2020/06/03

眠る山猫屋

39
序盤、文体が合わずちょっと苦戦したが、スルスルと読了。セクハラ芸術家が退場した辺りから読み易くなったかな(笑)主人公の強気/弱気の変転が掴み難く、でもまぁそれがリアリズムなのかも。異界から来たバケモノな訳がないと信じている主人公が、事態を受け入れていく過程が、苛烈な周囲の目により加速されていく様が悲しいね。そしてマガイの子たちがたくさんやって来る時代になってしまった哀しさ。2019/04/09

Yu。

20
その村には畏怖される“お山”があるのだが、そこで起きた怪奇な事件に巻き込まれ囚われ続けてきた姉弟に焦点を当てた民間伝承ホラー。。う〜む、ここまで大きくなるとは‥ 村内の話だけには留まらない幅広な展開に魅せられる一冊。2021/02/13

軍縮地球市民shinshin

14
『二階の王』の前日譚のような話。「取り替えっ子」とか「チェンジリング」「神隠し」をテーマとしたモダンホラーでなかなか読ませる。ラヴクラフトのクトゥルー神話を彷彿とさせるものでシリーズ化したら面白いかもと思うが、現代ではマンネリになってしまってファンが形成されないかもしれないな、とも思った。本作は単行本が2016年、文庫化が2018年だが、第3作は依然として出ていない。2023/01/04

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