内容説明
世界的規模の石油化学コンビナート建設を進める昭栄化学工業。コンピュータ・コントロール・システムを担う柿崎仁は、完全制御の技術開発の命を受けた。持ち前の熱意と行動力で、画期的な業績をあげるが、その矢先、柿崎の重篤な病が発覚。中国大慶との技術交流も行うが、病魔には勝てず、45歳の若さで逝ってしまう―。多くのプロジェクトを完遂しながらも、白血病に冒されて散った技術者を、感動的に描いた長編経済小説。
著者等紹介
高杉良[タカスギリョウ]
作家。1939年東京生まれ。専門紙記者・編集長を経て、75年『虚構の城』でデビュー。以後、綿密な取材に裏打ちされた企業・経済小説を次々に発表。97年、『金融腐蝕列島』で銀行不祥事を暴き、続く『呪縛 金融腐蝕列島2』は映画化されるなど、『再生 続・金融腐蝕列島』『混沌 新・金融腐蝕列島』『消失 金融腐蝕列島・完結編』に至るシリーズはベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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げんさん
18
読みながら、脳内に中島みゆきの地上の星が、流れてきました。 まさしくプロジェクトX、仕事に生命を燃やした男の話。企業が紆余曲折しながら、成長していく裏には様々な人々の血の滲むような努力、頑張りがあることを緻密な取材をもとにしてリアリティー溢れる小説にしています。テレビ映画も観たくなりました。2023/05/07
エドバーグ
6
会社勤めを始めたとき(44年前)には、この本の主人公と思考パターンがそっくりな先輩が多数おられたことを思い出しました。一部でなく多数でした。日本の驚異的な高度成長もむべなるかな と感慨ひとしお。今はこれだけ頑張らなくてもよいと思います。それは、日本が豊かになったから。喜ばしい思いです。2021/04/20
コロンボ
5
高杉作品の中の映像化作品の一つ。石油化学コンビナート建設を進める昭栄化学工業、そこのプロセス・コンピュータ技術者である主人公の柿崎が大分の建設工事に携わる。時代は昭和、高度経済成長期末期、柿崎は自分の身体のことなど顧みず仕事にのめりこむ。上司の薦めで病院にかかった柿崎は糖尿病と診断され、治療をしないと失明の危機。一旦は回復したかに見えたが、それもつかの間、ハードワークにより生命燃え尽きるまで働き続ける柿崎の姿を描いた感動的な作品。まさに昭和、今のような働き方改革という言葉がなかったころの話です。2021/04/02
Tomohito Moriyama
2
令和の現代、お手本とすべき働き方・憧れの夫婦像ではありませんが、こういうブッ壊れ型仕事人間たちのおかげで今の日本があるのも事実。選挙のエピソードが面白かったです。
みっぴのぱぱ
1
若いころに書店や図書館でよく目にしたからだろうか、なぜか気になっていた本を読む。まさに「The昭和のサラリーマン」というような小説だ。懐かしくもあり、今だったらブラック企業と言われてもおかしくない働き方であるが、先人の苦労があったからこそ、今の日本経済の発展があるのだと改めて感じた。(電子図書)2024/09/16