内容説明
「蝶が死んでも、翌年美しくよみがえるように、いつか帰ってきます」。23年前、謎の言葉を残し姿を消した一人の女性。鍾乳洞で起きた殺人事件の容疑者だった彼女は、成長した娘と共に疑いをはらすべく、因縁の地に戻ってきた。だが彼女の眼の前で、再び殺人が起きる。被害者の胸には、当時と同じく、剣のように鋭い鍾乳石が…。迷路のような鍾乳洞で続発する殺人事件の謎を追って、金田一耕助の名推理が冴える!
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説雑誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)などの名作を次々と発表。76年、映画「犬神家の一族」で爆発的横溝ブームが到来。今もなお多くの読者の支持を得ている。81年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coco夏ko10角
23
どちらも金田一耕助シリーズ。 『不死蝶』23年前殺人事件後に姿を消した容疑者、その女性と娘がブラジルから因縁の地にやって来るもまた事件が…。鍾乳洞がいい雰囲気出してる。このシリーズの良さが感じられて面白かった。 『人面瘡』は短編集で既読。2022/02/23
ミキ
7
2021-40:不死蝶は金田一耕助の推理が冴えるという感じのストーリーではなかった。人面瘡の方は短いながらも意外な真相があり面白かった。2021/03/22
そら
6
ライバル同士の旧家と底無し穴のある鍾乳洞。そこで起こる連続殺人。お得意のドロドロな感だが面白かった。 『人面瘡』も良作。2024/09/29
marty@もぶおん学
6
「犬神家の一族」に続く長野を舞台とした作品で、金田一耕助も長野県警に一目置かれる存在に。とある町で対立し合う名家に若い男女があり、女性の方が悲恋の末に相手の男性の弟を殺した容疑をかけられ底無しの井戸に身を投げて自殺した。その23年後、ブラジルの億万長者の養女となった日系の娘とその母親が同じ町に保養のために滞在することとなったが、母親の方がかつて自殺をはかった女性と酷似していると噂が立ち、不穏な空気が流れる中、連続殺人に発展する。事件は「八つ墓村」のように鍾乳洞の中で起こるので、その雰囲気を楽しむ作品。2023/11/23
芋猫
6
あれ…順番どおり「女王蜂」を読んでたつもりが、なぜか「不死蝶」を読んでいた…バカ!わたしのバカ!と嘆くものも程々にして、作品自体はなかなか緊迫感があって面白かった。ブラジルの富豪の養女となった美女が、祖国の日本に旅行に来るという設定も、いつもと違う空気感。併録の「人面瘡」も不気味で味があった。耕助シリーズは、孫の事件簿のようにサスケ系のとんでもトリックは出てこない分、人間ドラマがドロドロですね。2022/10/28