内容説明
家が入れ子のように重なってしまった二つの家族。一方の台所は、他方の寝室でもあり―(「融合家族」)。おれは昨夜まで童貞だった、新婚初夜を迎えるまでは。なのに潜望鏡が現れて、おれたちの性生活を覗いているのだ(「奇ッ怪陋劣潜望鏡」)。苦手な飛行機に乗ったがために、ハイ・ジャックに遭ってしまったおれ。なぜか乗客は皆、喜んで―(「日本列島七曲り」)。平凡な現実がぐらりとゆがみ、狂騒の世界が広がる極上短篇集!限定復刊。
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年大阪生まれ。同志社大学文学部卒業。主な作品に『虚人たち』(泉鏡花文学賞)『夢の木坂分岐点』(谷崎潤一郎賞)『朝のガスパール』(日本SF大賞)「ヨッパ谷への降下」(川端康成文学賞)『わたしのグランパ』(読売文学賞)などがある。ほか、フランス・パゾリーニ賞、菊池寛賞受賞。フランス・芸術文化勲章シュバリエ章、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MIKETOM
6
筒井全盛の頃の一冊と言っていいのかな。全11編のうちのほとんどが下ネタ三昧(笑)ただしエロではない。いくら読んでも笑いはすれど妙な気分になったりはしない。こういうの、好きなのだ。『誘拐横丁』と『融合家族』は両方とも最後の一行が【そして、乱交パーティーが始まった】もう、やりたい放題(笑)『郵性省』やら『奇ッ怪陋劣潜望鏡』『陰悩録』とかはもう、全編シモだらけ。狂気ギャグ、笑いの渦とか、当時の筒井作品の惹句を思い出して楽しくてしょうがない。また、笑いの中に文明批判的なことが書いてあるのも当時の筒井の特徴かな。2022/03/20
ベッシー
5
表題作を含む11編の短編集。全体的に品はないが特徴をうまく捉えているので文章としては良い。 関係ないが解説がムツゴロウさん。2023/11/09
selva
5
「公害浦島覗機関」を読みたくて買い直し。多くの作品は再編集版に収録されているが、オリジナルで読むと9割が下ネタだったことに気付く。しかも最初の二編はオチまで同じという。一番強烈なのは「陰悩録」だろうが、「郵性省」は何度読んでも笑える。千益夫という名前もすごいが、窮地に追い込まれた益夫の「ああん」がかわいい。 2021/10/18
hirayama46
4
再読ー。主に病院の待合で読んでいました。この淫猥な本を……。「問題外科」は収録されていないのできっと大丈夫。2021/12/09
あらあらら
2
コンプラ厳しい今の時代では受け入れられない内容2023/11/12