生き残り

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生き残り

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  • サイズ B6判/ページ数 208p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041071076
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

人間存在のままならなさを静かに深く掘り下げた、サスペンスフルな戦争小説北ビルマでの米支軍との戦いは、退路を断たれ、苦戦を余儀なくされた。独歩患者は中隊から切り離され、経験のとぼしい見習士官を付けられて分進隊として転進する羽目に陥る。イラワジ河をにわかづくりの筏で下る際、敵機に襲われ、すさまじい火力で河面が叩かれる。各自中州までようよう泳ぎ着くが、そのさなか、伍長が胸の一突きで殺される。あの極限状態のさなかで、いったい誰が? 大河の両岸には百姓ゲリラが控え、中州からの脱出もままならない。籠城はできても3日。日本兵たちはやがて、一人、またひとりと命を落とす――。
中州を脱出してひとり安全圏の渡河点にたどりついた兵隊から転進の行程を聞いた下士官は、話に違和感を覚え、兵隊に銃をつきつける。「お前、足手まといになった連れをひとり残らず殺して転進して来ただろう」――転進の道で鬼とならざるを得なかった人間の弱さ、優しさ、哀しさ。人間存在のままならなさを静かに深く掘り下げた、サスペンスフルな戦争小説!


古処 誠二[コドコロ セイジ]
著・文・その他

内容説明

退路を断たれた北ビルマでの戦いで、独歩患者は分進隊として切り離される。経験のとぼしい見習士官を付けられての転進中、イラワジ河で敵機に襲われ、九死に一生を得た森川上等兵。死に物狂いで泳ぎ着いた中州に漂着してきたのは、伍長の刺突遺体だった。自決か、他殺か―。腹を探り合う兵隊たちは、ゲリラに包囲された中州で籠城を余儀なくされ、ひとり、またひとりと命を落とす。息もできない閉塞感とサスペンスフルな展開。どうしようもなく感情を揺さぶられる驚天動地の戦場ミステリ!

著者等紹介

古処誠二[コドコロセイジ]
1970年、福岡県生まれ。高校卒業後、様々な職業を経て、航空自衛隊入隊。2000年4月『UNKNOWN』で第14回メフィスト賞を受賞し小説家デビュー。資料精査の果てに、従来の戦記文学を超越し、戦争体験者には書けない物語の領域を切り拓き続ける。10年、『線』をはじめとする一連の執筆活動に対して、第3回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を授けられる。『いくさの底』で毎日出版文化賞と日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おかむら

31
古処さんの新作は「中尉」「いくさの底」に続いてまたビルマ戦記。戦争末期、転進と言う名の撤退中にとある傷病兵部隊が全滅。一人残った兵隊に疑惑の影。ミステリー要素もありますが、もう古処さん、来れるやつだけ付いて来い的な独特独自の世界観。渋いわー! ビルマ腐れの足を引きずりながら雨季のぬかるみ道を歩いてる気持ちになりながら読みました。 2018/10/13

aloha0307

27
太平洋戦争末期 敗色濃厚の北ビルマ戦線 軍装備・食料も枯渇 転進という名の撤退...心身ともに限界の過酷極まる場面は緊張感がピークで高止まりでした。疑心暗鬼が利己主義に陥り、心が荒みきっていくのは人間の原罪か。終章で明かされる動機と兵隊の論理には驚愕してしまう。主人公:森川上等兵はどうなった? それを読みこなせなかったのは残念です。2019/02/03

タカギ

25
すごい…久しぶりに頭がパーンとなる衝撃を受けました。『いくさの底』も我が目を疑ったけれど、ミステリ色は今作のほうが強い気がします。苦しい戦況の下では、誰もが利己的で、でも一人では生き残れる確率は低いという矛盾。ビルマ人の親切にすがりながら、同じゲリラを恐れる矛盾。辛い場面も多いですが、読むべき物語だと思います。マンダレーがミャンマーの都市だと知って、びっくりしました。『レベッカ』ね。無知とはこのこと…恥。2018/10/08

Hisasi Hasida

21
「他人だからです」一言の重さが、このお話の肝なんやろなぁ~ッ !! って、思ったお話 。。。2018/12/20

遊々亭おさる

17
太平洋戦争時のビルマ。マラリアやビルマ腐れを患う傷病兵たちは中隊から離れての転身を余儀なくされる。見習士官の指揮のもと、マンダレーまでの道を進むがゲリラの襲撃時にひとりの兵隊が謎の死を遂げる。いっぽう、イラワジ河の渡場で他者を拒む鎧を身に付けてひとり佇む上等兵の姿が…。平和を貪る現代においては狂気の沙汰でしかない論理も戦場に立てば疑う事なき真理に変わる。戦場で命を散らした多くの兵隊さんたちはこのような思いに殉じていたのか。ミステリ的などんでん返しの驚きを身に付けて、極限状態での人間の心模様を綴る戦争文学。2018/09/09

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